NHK受信料、訪問による契約業務はまだ伸びる 双子の経営するベンチャーが上場、戦略は?

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――昨年12月、NHKが受信料の支払いに応じない男性に対して起こした裁判で、最高裁判所大法廷はNHKの受信契約を規定した放送法64条1項について、「憲法に違反するものではない」との判断を示しました。この判決以降、現場に変化はありますか?

詳しいことは申し上げられませんが、お客様も認識をなさっており、以前より聞く耳を持ってくださっていると思います。

――判決では、NHKによる「契約書類が被告に到達した時点で契約が成立している」という主張が認められず、「放送法は(中略)双方の合意によって義務を発生させるとしたもの」との判断が示され、今後も訪問による契約締結の活動が必須となりました。

現在、NHK受信料の支払率は80%弱程度で推移しています。これは毎年、大学生や新社会人が都市部に出てくるなど、単身世帯の移動があるからです。そのため、今後も契約・収納業務の需要は続くと思いますし、われわれもどんどん拡大していきます。

――イエプラやアルテマなど、メディア事業にも注力しています。株式上場で調達する資金は、メディア事業のシステム開発やエンジニアの採用などに充当する方針です。

営業代行で安定的な基盤を作ったうえで、メディア領域を展開するモデルです。イエプラ、アルテマ事業ともに黒字化しています。

設立1年目から利益を出すなど順調だったので、IT領域でチャンスを模索しました。まずはSEO(検索エンジン最適化)などの基本を学び、その知識を基にメディアを運営しようと「塾予備校ナビ」を始めました。塾を探す人が資料を請求できるサイトです。ユーザーの資料請求があると塾から手数料をもらえます。塾の開拓にはわれわれの強みである営業力が使える。そこで成功体験を積みました。

将来はリクルートになりたい

その次はより大きな不動産市場に展開しました。そこでイエプラ、「家AGENT」を運営しています。イエプラは部屋探しの集客メディアで、家AGENTの仲介店舗に送客し、契約まで案内することで、仲介手数料や広告料をオーナーさんからいただくモデルです。それ以外のお客様は提携する不動産会社に送客しています。

スマホゲーム攻略サイトのアルテマは、コンテンツマーケティング能力を生かしたサイトです。ユーザー層は課金に応じる余裕のある30代が中心。ゲーム攻略に特化して、自社で雇用したライターが攻略記事を書いています。ゲームの選択と、攻略情報のクオリティとスピードが大切です。ユーザーは効果的に課金に応じたいので、攻略情報を参考にするわけですね。

大きく飛躍できる可能性があるのはアルテマです。今後はゲームの攻略だけでなく、新しいゲームの紹介も展開し、PV(ページビュー)数を増やしていきたい。また、スマホゲームだけでなく据置型ゲーム機のゲームも検討したい。2021年までに大手ゲームアプリ攻略サイト「GameWith」の規模に追いつくのが目標です。

――中長期的にどんな会社に成長させていくか、社長のビジョンを教えてください。

直近でいえばNHKの営業代行を拡大し、たとえば省庁に特化した営業代行などをやっていきたい。NHKの業務で実績を積み上げているし、株式上場で企業の信頼性も高まると考えています。会社としてはまずGameWithのようになり、サイバーエージェントのようになり、ゆくゆくはリクルートのようになりたい。リクルートも営業が強く、メディアも展開している会社。そこが最終的な僕のビジョンです。

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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