NHK受信料、訪問による契約業務はまだ伸びる 双子の経営するベンチャーが上場、戦略は?
NHKの受信料はほかにない商材だと思いました。1つ目は競合がいないこと。契約・収納代行業務は「この期間、この地域はこの会社しか行ってはダメ」と決められているので、何社も同じ地域で営業することがありません。2つ目は商品の説明が簡潔であること。受信料制度は正直、常識の範疇なので、難しい説明は不要です。3つ目は法律で契約が義務づけられているということです。
――双子の弟である圭介副社長と起業した理由は?
幼稚園から小学校、中学校、高校、大学まで全部一緒です。弟は携帯電話向けコンテンツなどを手掛けるITベンチャーで働いていました。いずれ会社を一緒にやる気持ちはありましたね。
性格は正反対で、私はドンドン突き進む営業タイプですが、弟は慎重派で冷静に考えるタイプ。双子というのはやはり特別で、信頼は厚い。普通の兄弟なら一緒に起業しなかったと思う。顔は似ていますが、一卵性なのか二卵性なのかはいまだにはっきりしていないんです(笑)。
拡大に次ぐ拡大だった
――どうしてNHKの契約・収納代行業務を順調に広げることができたのでしょうか。
業界ではレガシーな営業会社も存在しますが、弊社は「営業を科学する」と言っていて、営業のプロセスを分解し、要素ごとにマニュアルを整備して、個々の営業マンに合わせた教育を行っています。
たとえば事前準備。通常は顧客リスト作りをしなければならないのですが、ここはNHK側がすでにやってくれています。営業マンが携帯する「ナビタン」と呼ばれる端末には、最高精度の訪問先データが入力されています。こうした情報を見て、どう回るかを決めていく。
平日の日中、マンションに住む単身の方は仕事に出ていることが多いので、戸建てを中心に回るようにして、訪問数を増やすようにします。在宅率が高くなる土日の使い方もポイント。昼と夕方に行くとか、1日のうちに複数回訪問することもあります。どうしても会えないなら19~20時に訪問することもあります。
また、いつどこを訪問したかという営業マンの行動データもわかるので、そもそも訪問数が少ない、お客様に会えているが成約率が低いなど、それぞれの課題から個別にフィードバックし、次の訪問までに対策を練っていきます。
――設立以降、どんな苦労がありましたか。
幸せな悩みですが、拡大に次ぐ拡大だったことです。起業前にNHK業界を勉強していたので、すぐに成果を上げることができました。3人で始めたのですが、業界の標準を大きく上回る成果を上げたので、3カ月後には25人に増やしてくださいとNHKからオファーをいただいた。ただ、採用活動は大変でした。
2年目には新事業を始めたところで、同時に50人から100人体制にしてくださいとの依頼も受け、どんどん会社の規模が広がっていった。事業所も分かれていく。社員が50人以上になると、経営者は細かく会社を見ることが難しくなります。経営者として初めての経験でしたが、そこで勉強を重ね、採用・教育体制を構築することができました。
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