「Facebookの凋落」が日米企業に課した大問題 広告効果の低減を避けられない状況にある
だが、今回は、この一件を受け、すぐさまプライバシーポリシーを大幅に見直したり、API(Application Programming Interfaceの略で、ソフトウェア同士が互いに機能を共有するための仕組み)の公開の仕方を見直すなど、ある意味“らしからぬ”動きで素早い対応を見せ始めている。
個人情報がフェイスブックの利用料
全世界で、昨年第四四半期(10~12月)の、一日あたりのアクティブユーザー数(DAU)が14億人に達し、もはや単なるSNSを超え、一大経済圏を構築するまでに巨大化したプラットフォームであるフェイスブック。フェイスブックが変わるということは、この経済圏の中にいる企業や個人も、その変化に巻き込まれるということを意味している。この一件がきっかけで、これまでのインターネットビジネスの構造が大きく変わる可能性もあるのだ。
フェイスブックが単なるSNSを超え、巨大なプラットフォームであると言われる理由。それは、ユーザーが思っている以上に多くの外部サービスとつながっている、その幅広い連携性にある。これまでフェイスブックは、APIを公開することで、フェイスブックの持つ機能やデータを(もちろんすべてではないが)、さまざまな外部サービス事業者に対して利用できるようにしてきた。たとえば“ソーシャルログイン”という仕組みも、その一つの例だ。これは、インターネット上でサービスを提供している企業が、ユーザーに対して自分たちのサービスにログインさせる仕組みとして、そのユーザーのフェイスブックアカウントを利用するというやり方である。
これにより、ユーザーは、フェイスブックアカウントさえあれば、新しいツールやサービスを利用するごとに、いちいち自分の個人情報を登録するというような手間を省くことができる。一方、サービス提供企業側は、自分たちが普通にサービスを提供しているだけでは、なかなか知ることができない、自分たちのユーザーに関する詳細な情報を、把握することができるし、その情報を利活用することで、サービスの質を向上させることが可能になる。
現在のインターネットビジネスの多くは、ユーザーが、便利なツールやサービスを利用する際に、その対価として、自分たちに関するさまざまな情報を提供するというような構造で成り立っている。一見“無料”のツールやサービスであっても、そこにはつねに“情報”というコストが発生しているのだ。
もちろん、こうやって集められた情報は、広告にも広く活用されることとなる。フェイスブックに対して提供されているユーザー個人の趣味、嗜好などの情報が、広告サービスと連携することで、それぞれのユーザーに対し、興味を持っていると思われる広告をピンポイントで表示させることが可能になる。さらに、フェイスブック以外のサードパーティが有する、より詳細なデータを組み合わせれば、その広告効果はより高まる。現在のオンライン広告は、複数のデータプロバイダーが有している膨大なデータを組み合わせることが前提になっていると言ってもいい。
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