DMMがヤンキー支援ベンチャーに惚れたワケ 非大卒の就職を仲介するハッシャダイを買収
アフリカ支援にものづくり支援、VR(仮想現実)、仮想通貨から水族館まで――。種々雑多な事業で拡大するDMM.comが、また新たな領域に進出する。
同社は4月13日、中卒高卒、いわゆる“第0(ゼロ)新卒”の人材育成事業を手掛けるハッシャダイの全株式を取得(買収価格は非公表)し子会社化したことを明らかにした(3月7日付け)。ハッシャダイ経営陣は、DMMから資金やノウハウの提供を受け、さらなる成長を目指す。
同社は2015年から地方出身の非大卒人材向けに、住み込み型のキャリア支援事業「ヤンキーインターン」を運営している。プログラミングやデータ活用などの技術を学べる「yankee.hacker(ヤンキーハッカー)」と、営業やビジネススキルを学べる「yankee.business(ヤンキービジネス)」の2コースがあり、いずれも一般教養や基本のビジネスマナーも身につけられる。
研修は教材を使った独学と講義形式の座学で構成されており、参加者には住居や食事、パソコン(ハッカーコース)など、生活や学習に必要なものが無償で提供される。参加料は取らず、ハッシャダイ経由で採用が決まった際、企業から紹介料を受け取るビジネスモデルだ。
インターンの期間は3カ月から半年ほど。早期に就職が決まり、2カ月足らずで卒業していく人もいるという。これまで約200人がインターンに参加し、8割程度が就職、そのほかにも進学や留学、起業に至ったケースもある。
ハッシャダイはDMM傘下で、次の成長戦略をどう描くのか。また、異色の人材育成企業を取り込むDMMの狙いは何か。久世大亮・ハッシャダイCEOと、亀山敬司・DMM.com会長に話を聞いた。
「これは小さな問題ではない」と実感
――ヤンキーインターンを始めたきっかけは?
久世:自分自身が非大卒で、地元の友達にはヤンキーがすごく多くて。彼らを変えたいという思いがあった。
創業した2015年当時は大学生向けのキャリア支援の仕事をしており、18〜19歳の学生と接していた。そうした中で感じていたのは、その年齢だと地元のヤンキー友達と感覚や思考がそんなに変わらないということ。ところが就活では明確な差が生じてしまう。
だから大学で経験できるようなキャリア支援を摸倣して、非大卒にも提供してみようと。はじめは実験みたいな気持ちで、友達の中でも本当に問題のあるヤンキーばかり集めて、キャリア支援をしてみたところ、びっくりするくらい変わった。就職が決まった人もいて。
同時に、思った以上に参加希望者が集まったので、これは小さな問題ではない、もっと事業を大きくする必要があると実感した。それで2016年9月に現在のブランドに作り替え、改めてビジネスとしてしっかり伸ばそうという体制を構築した。
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