地震から2年「南阿蘇鉄道」の復旧が始まった 「マンガよせがきトレイン」も復興に一役

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南阿蘇鉄道は現在、運行しているのは中松―高森間のみだ。乗車時間20分足らず、走行距離にして7.1km。震災の影響で、線路や鉄橋に被害を受けた立野―中松間(10.6km)は運休したままである。

5年ほど前に旅行目的で訪れた時は、熊本からJRの「特急あそぼーい!」に乗車し、立野駅から南阿蘇鉄道の「トロッコ列車」に乗り換え、高森駅まで行くことができた。

震災後、列車に乗るために中松駅、高森駅に行くには、バスやレンタカーなどを組み合わせて行くしかなく、まさに陸の孤島と化している。立野駅を出発し、陸橋を渡るときにワクワクしたあの景色は、もう拝めないのだろうか……。

2022年度には全線復旧へ!

着工式の様子。地元、高森高校の生徒らも式典に参加した(撮影:坪内政美)

だが、くしくも取材したその日、立野では着工式が行われていた。懸念していた立野―中松間の復旧工事が、なんとこの日から始まったのだ。どうやら昨年12月、復旧費の97.5%を国が負担することが決定し、この日に着工となったとのこと。工事の概要説明では「2022年度には全線復旧を目指す」と発表され、会場がどよめいた。

『月刊!スピリッツ5月号』には今回の取材を漫画にした「おんな南阿蘇鉄道ひとり旅」が掲載されている。犀角山トンネルはこのような工事を行う

当初の計画では、犀角山トンネルを修復するための工事費がかさむ様子だったが、トンネル自体を全撤去することで費用がかなり削減された。歪んでしまった第一白川橋梁は、すべて分解し、組み立て直すとのこと。大胆な発想の工事に、すっかり感心してしまった。

式典には高森町長、熊本県副知事はじめ、国土交通省職員や地元県議会議員など、関係者約100人が参加していた。上空にはヘリコプターが飛び、マスコミも大勢来ていた。復旧への注目度の高さが伺えた。

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