今回のNYショーはSUVばかりが目立つショーで、RAV4以外では米国スバルのベストセラーモデル「フォレスター」の5代目のお披露目や、キャデラックの新型コンパクトSUV「XT4」の初公開もあった。ホンダのプレミアムブランドのアキュラ「RDX」やレクサス「UX」の北米初公開など、どのブースもSUVがメインで、日産自動車の新型「アルティマ」が逆に目立ったくらいだ。
米国では厳密に言うとRAV4はSUVではない。米国の自動車業界では、SUVとは昔ながらにトラックと同様に、ハシゴ状のフレームの上にボディが乗ることで丈夫なラダーフレーム構造の車を指す。乗用車と同じくボディとフレームが一体になったモノコック構造のSUVはクロスオーバーSUV、またはCUVと呼ばれる。
今や米国ではラダーフレームのSUVはゼネラル・モーターズ(GM)の「サバーバン」や「リンカーン・ナビゲーター」など極少数の大型モデルか、クライスラーの「ジープ・ラングラー」のよう本格オフローダーのみ。フォード「エクスプローラー」やクライスラー「ジープ・グランドチェロキー」ですらモノコックのCUVなのだが、そのパイオニアがトヨタRAV4である。
クロスオーバーの元祖
そしてこのRAV4こそが、今や年間1700万台の新車が売れる米国の自動車市場で最も売れているクロスオーバーの元祖なのだ。2018年の1~3月市場でいうと、セダンやワゴンの乗用車は33%、ピックアップが16%、ラダーフレームの旧来のSUVが7%で、34%という全乗用車を上回るパイを占めるのがクロスオーバーSUVである。
SUVというジャンルは、もとはピックアップトラックに座席と屋根を取り付けたもので、量産車としてはGMが「シボレーS-10ピックアップ」をベースに2ドアのまま後席と屋根を取り付けて1982年に投入した「S-10 ブレイザー」が元祖である。
厳密にはそれまでもピックアップの荷台に座席とFRPの屋根を取り付けた改造車は米国の一部の若者の間で人気があったのだが、ちゃんと鋼板の屋根をつけて量産したのはブレイザーが最初で、比較的歴史の浅いジャンルであるのだが、1991年にはフォードからエクスプローラーが発売され、SUV人気が高まり今や米国ではこの種の車はいちばんの人気を誇っている。
そして1994年に当時のトヨタの乗用車のFFコンポーネンツを極力流用してできたのが初代RAV4である。日本ではキムタクのCMを覚えているご同輩も多いことだろう。
その意味ではRAV4の歴史的価値は決して軽視できない。この車がなかったら、ここまで世の中はクロスオーバーばやりにはならなかったのかもしれない。2019年春頃の日本での復活がどのように受け止められるか、楽しみな一台だ。
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