転職先での「お手並み拝見」を乗り越える方法 容赦なく浴びせられる「好奇の眼差し」

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そうしたリスクを避けたうえで、どうすべきか。集団があなたを値踏みしているのですから、あなたも存分に値踏みすればよいのです。ひとりぼっちにされ、遠巻きに見られている間に、あなたも集団をじっくり観察してみましょう。

誰の発言に影響力があり、誰の仕事ぶりが評価され、人望があるのは誰で……というのは、外から観察すればよく見えてくるはずです。まずは、それを頭に叩き込んで、動き方を考えていけばいいのです。人間関係や力関係の構図をつかんで、それに応じて、自分がどう振る舞いたいか、どんなポジションでいたいか、見極めてから動きましょう。

そして、よくよく見極めたうえで、影響力のありそうな人の仕事に、一枚かませてもらうように働きかけてみてください。そうやって得られた仕事を、大小にかかわらず丁寧に、あなたの力を存分に発揮しながら遂行すれば、少しずつ、警戒心以上の気持ちを持ってもらえるようになると思います。そして、その積み重ねによって、いつの間にかきっと、あなたの力はフラットに評価されるようになり、組織の中に居場所ができているでしょう。

そうなってしまえば、値踏み時代は終了です。組織の中で、わかってもらうべき人たちにきちんとわかってもらうことで、もしかすると、新卒で入社したとき以上に力を発揮しやすい環境を手に入れることもできるかもしれません。

「まっさら」な状態からプロデュースするチャンス

出来上がった集団に入るということは、「出来上がった力関係」の中に、自分の居場所をつくる、ということでもあると思います。もちろん、難しさはありますが、過去の自分が組織の中で失敗したと思う振る舞いを是正することも、「こうありたかった」と考える自分像を一からつくってみることもできる。人間関係も自分の見られ方もまっさらなのですから、自分で自分をプロデュースできてしまうともいえるでしょう。

そう考えれば、今はまだなじんでいない、という状況は、まだ再デビュー準備期間。やみくもに仲間に入れてもらおうとするのは実はあまり賢くないかもしれない。大きなチャンスを前にしていると考えるほうがいいと思いますよ。

今の時代、そんな閉鎖的な組織でどうするのだ、とか、業務経験やスキルが評価されて転職したのだから成果で勝負だ、とか、さまざまなご意見があるでしょう。でも、出来上がった集団がそこに入っている人に対して、意地悪く見える振る舞いをしたり、警戒心を強く抱いたりするのは、不変の条理だと思うのです。

賢く振る舞って、十分に見極め期間を持った後に、存分にこれまでのスキルや経験を生かしていけばよいと思いますよ。そして、いつの間にか、集団にどっぷりなじんで、新しく来た人を値踏みしてしまう自分を感じたら……。「なじみすぎている!」と自分を戒めていけたらいいですね。

堂薗 稚子 ACT3代表取締役

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どうぞの わかこ / Wakako Dozono

1969年生まれ。1992年上智大学文学部卒業後、リクルート入社。営業として多くの企業を担当し、数々の営業表彰を受ける。管理職として、多様な雇用形態の組織の立ち上げやマネジメント、『リクルートブック』『就職ジャーナル』副編集長などを経験。2004年第1子出産。2007年当時組織で最年少、女性唯一のカンパニーオフィサーに任用され、事業責任者、「リクナビ派遣」編集長を務める。2010年に第2子出産後はダイバーシティ推進マネジャーとして、社内外女性のメンターを務めつつ、ワーキングマザーで構成された営業組織の立ち上げ、マネジメントを担当し、彼女たちの活躍を現場で強く推進した。経営とともに真の女性活躍を推進したいという思いを強くし、2013年退職。株式会社ACT3設立、代表取締役。女性活躍をテーマに、講演や執筆、企業向けにコンサルティングなどを行っている。2013年2月、リクルート在籍時に東洋経済オンライン「ワーキングマザーサバイバル」連載に登場。FBのいいね!数が6000を超えるなど、話題となった。

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