そうしたリスクを避けたうえで、どうすべきか。集団があなたを値踏みしているのですから、あなたも存分に値踏みすればよいのです。ひとりぼっちにされ、遠巻きに見られている間に、あなたも集団をじっくり観察してみましょう。
誰の発言に影響力があり、誰の仕事ぶりが評価され、人望があるのは誰で……というのは、外から観察すればよく見えてくるはずです。まずは、それを頭に叩き込んで、動き方を考えていけばいいのです。人間関係や力関係の構図をつかんで、それに応じて、自分がどう振る舞いたいか、どんなポジションでいたいか、見極めてから動きましょう。
そして、よくよく見極めたうえで、影響力のありそうな人の仕事に、一枚かませてもらうように働きかけてみてください。そうやって得られた仕事を、大小にかかわらず丁寧に、あなたの力を存分に発揮しながら遂行すれば、少しずつ、警戒心以上の気持ちを持ってもらえるようになると思います。そして、その積み重ねによって、いつの間にかきっと、あなたの力はフラットに評価されるようになり、組織の中に居場所ができているでしょう。
そうなってしまえば、値踏み時代は終了です。組織の中で、わかってもらうべき人たちにきちんとわかってもらうことで、もしかすると、新卒で入社したとき以上に力を発揮しやすい環境を手に入れることもできるかもしれません。
「まっさら」な状態からプロデュースするチャンス
出来上がった集団に入るということは、「出来上がった力関係」の中に、自分の居場所をつくる、ということでもあると思います。もちろん、難しさはありますが、過去の自分が組織の中で失敗したと思う振る舞いを是正することも、「こうありたかった」と考える自分像を一からつくってみることもできる。人間関係も自分の見られ方もまっさらなのですから、自分で自分をプロデュースできてしまうともいえるでしょう。
そう考えれば、今はまだなじんでいない、という状況は、まだ再デビュー準備期間。やみくもに仲間に入れてもらおうとするのは実はあまり賢くないかもしれない。大きなチャンスを前にしていると考えるほうがいいと思いますよ。
今の時代、そんな閉鎖的な組織でどうするのだ、とか、業務経験やスキルが評価されて転職したのだから成果で勝負だ、とか、さまざまなご意見があるでしょう。でも、出来上がった集団がそこに入っている人に対して、意地悪く見える振る舞いをしたり、警戒心を強く抱いたりするのは、不変の条理だと思うのです。
賢く振る舞って、十分に見極め期間を持った後に、存分にこれまでのスキルや経験を生かしていけばよいと思いますよ。そして、いつの間にか、集団にどっぷりなじんで、新しく来た人を値踏みしてしまう自分を感じたら……。「なじみすぎている!」と自分を戒めていけたらいいですね。
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