健康を食い物にするサイトに下された審判 「私たちの声はグーグルに届く」

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それから約3カ月後に実施されたアップデートは、専門家の期待を大きく超えるもの。SEOの専門家である辻正浩氏は「今回の変更は前代未聞」と表現します。

今回の変更は、WELQ後に実施された健康・医療分野の改善としては、最大でした。(この分野の)検索順位の変動として前代未聞のものだったとも言えます。

他に、「NAVERまとめ」や「Yahoo!知恵袋」などのCGM(誰でもコンテンツを作れるメディア)も順位が急落している、と辻氏。これらのサイトも、健康・医療情報を専門家以外が扱うことがあり、ウソや不正確な情報が含まれていることが、指摘されていました。

2018年2月時点では、今回のアップデートが実施されたのは日本のみです。WELQ問題以降、日本で高まっていたネットの健康・医療情報への不信感を払拭するための、独自の対応であることがうかがえます。

すべてが解決されたのか?

辻氏は、今回のアップデートを「(現時点の情報からすると)すばらしい改善」と評価します。

「今回、健康・医療情報を求める検索に対して、多くのページが検索順位を落とされました。非常に厳しい判定基準ですが、日本のネットの状況を鑑みれば、仕方のないことだと私は考えます。日本のネット上には、あまりに問題あるサイトが増えてしまいました。WELQのような手法は今後、許されないということを示したのでしょう」

ただし、「今回のアップデートですべてが解決されたわけではない」とも言います。たとえば、3単語以上のキーワードを入力するなどのニッチな検索の中には、今回の改善が影響していないものも見られるそうです。また、「ダイエット」や「育毛」など、健康に関連してはいるものの、現時点では大きな変化が発生していないジャンルもあると言います。

「とはいえ、今回断固たる対応を行ったことから考えると、今後も続く改善で同様の動きになる可能性は高いでしょう」

グーグルは、今回の変更により「医療従事者や専門家、医療機関等から提供されるような、より信頼性が高く有益な情報が上位に表示されやすく」なると表現しています。実際に、大学や公的機関のページが上位に表示され、非専門家の運営するページの順位は落ちています。

「もちろん、ネットには悪い医療情報サイトばかりがあるわけではありません。私見ではありますが、信頼に足ると感じていたいくつかのサイトも、今回のアップデートで大きく検索順位を落としているケースが散見されます。信頼に足るサイトまで落ちてしまう、というのはたしかに問題です」

ただし、このような状況が今後、解消されるのか、それともこのままなのかは、「わからない」と辻氏。問題あるサイトへの対策を大規模に行ううえで、巻き込まれて落ちてしまうサイトが出るというのは「ある程度は仕方がないこと」とします。

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