3200億円ファンドを運用する男の意外な財布 長期運用のカリスマが考えるおカネの使い方

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「経済というものは、おカネを使って、回すことが何より重要です。とはいえ、今は高度経済成長時代とは違って成熟経済だから、みんなモノを買わない。それなら、みんなで貯金の1%を“寄付”しましょうと。

いま日本の預貯金額は約859兆円あるといわれるので、その1%だと8.5兆円になる。これが寄付を通してすべて消費に回れば、それだけで日本の経済は1.7%も成長する。もし預貯金の3%を寄付すれば、5%の成長です。5%成長すれば給料も増え、ますますおカネが回るようになる。これなら絶対に将来は明るい。そうした循環を作らないといけないんです」

「モノよりも『気持ちの満足』におカネを使いたい」

澤上氏は自らモデルとなるべく、2014年にオペラの公演や若き芸術家を支援する「さわかみオペラ芸術振興財団」を設立。さらに2015年には無報酬でさまざまな寄付を受け付けて団体へ届ける「公益財団法人 お金をまわそう基金」を設立。2017年にはオペラ文化の啓蒙活動が評価され、イタリア共和国の星勲章・コンメンダトーレを受章した。

「心の満足におカネを使っているほうが楽しい」と話す澤上氏(撮影:今井 康一)

「おれも若い頃はポルシェが欲しかったし、もしかしたらもう乗れるようになったかもしれないけど、乗っている暇がない。今はモノよりも“気持ちの満足”におカネを使った方がずっと楽しいね。家の借金を返したのに、会社を立ち上げてまた10億の借金ができ、今また3億なんぼの借金があるわ(笑)」

ただ、家計をギリギリでやりくりしている人には、まとまった額の寄付する気にはなかなかなれない、というのが正直なところだ。

「だからこその長期投資なんだよ。まずは身の回りの無駄を徹底的に省いてみればいい。スイーツを減らすとか、飲んだ後の仕上げのラーメンをやめるとか(笑)。そして浮いてきたおカネを貯金するのではなく、長期投資に回す。投資信託であれば1万円からでも買える。それを10年、20年続ければ、複利の効果でお金は思いのほか増える。そうやって経済的な自立を手にすれば、あとは世のため、自分の心の充足のために自由におカネが使えるというわけです」

誰もが長期投資により、かっこよくおカネを使えるステージまでいける。それが澤上氏が導き出したお金の解だ。

田嶋 章博 ライター、編集者

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たじま あきひろ / Akihiro Tajima

取材ライターとしてビジネス系記事やオウンドメディアの記事を、カレーライターとしてカレー関連記事を執筆。ポートフォリオサイトはこちら。ツイッターアカウントは「@tajimacho」

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