3200億円ファンドを運用する男の意外な財布 長期運用のカリスマが考えるおカネの使い方

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「長期投資のカリスマ」の財布は驚くほどシンプルだった(撮影:今井 康一)

毎日持ち歩き、お金の出入り口となる「財布」。そこには、その人のおカネに対する哲学や向き合い方が表れがちだ。当連載では、話題の起業家や投資家など一流といわれる人たちが愛用する財布を、それぞれのマネーストーリーと合わせて紹介する。

連載1回目は、さわかみホールディングス代表取締役の澤上篤人氏。1996年にさわかみ投資顧問を設立し、今や運用する投資信託「さわかみファンド」の総資産額は3200億円にも上る。日本における長期投資のパイオニアにしてカリスマ的存在である澤上氏だが、意外にもその財布はシンプルこのうえない2つ折り財布だった。

バーバリーの2つ折り財布は14~15年選手

「こんなのが面白いのかねぇ」と言いながら、澤上氏が胸ポケットから取り出したのは、バーバリー製の黒い2つ折りの財布。質実剛健という言葉がピッタリの財布だ。14~15年選手だというが、ダメージはほとんど見受けられず、購入して数年しか経っていないものにみえる。

バーバリー製の黒財布は14~15年使っている割にはほぼ傷んでいなかった(撮影:今井 康一)

中に入るのはキャッシュカード1枚とクレジットカード2枚、そして運転免許証、コンビニのポイントカード1枚が入るのみというシンプルさ。「普通」と言ってしまえばそれまでだが、そこには澤上氏のおカネへの向き合い方が表れているといえる。

「貧しい原体験があるからか物持ちがよくて、財布は、25年くらいは平気で使い続けます。ブランドにはまったくこだわりません。もともと自分の贅沢には興味がないし、物欲もない。そもそも朝から晩まで仕事ばかりしているから、おカネを使うことがほとんどないんだよね。せいぜい会社の若い連中を連れて居酒屋に飲みに行くくらい。まあ毎晩飲んでいるけど(笑)」

免許証にクレジットカード2枚、コンビニのカード1枚というシンプル・イズ・ザ・ベストを体現している財布だ(撮影:今井 康一)

無駄なものをバッサリ削ぎ落とし、いいものを長く持ち続ける。そうしたスタイルは、まさに創業から現在に至るまでほかに新ファンドを設定せず、ひたすら「さわかみファンド」1本を運用・販売し続けてきた同社の企業スタイルにも通じるのかもしれない。

「貧しい原体験がある」という言葉通り、澤上氏のビジネス人生は順風満帆ではなかった。そもそも、そのスタートからしてマイナスだった。

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