100人と見合いした41歳女性が受けた仕打ち 年収800万の男性と婚約、新居も購入したが…

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目の前のコップを知恵めがけて投げつけてきた。それが知恵の体に当たった。物を投げつけられたのは初めてで、頭の中が真っ白になった。暴言を吐くものの、知恵には手を上げなかったのに、初めて暴力を振るわれたような気持ちになった。

「何するのよー!」

とっさに近くにあったボール紙を丸めて、則雄に向かって投げつけると、それが彼の足に当たった。

「お前こそ何するんだ! 骨折したらどうするんだよ」

「骨折? 紙で骨折なんかするわけないじゃない?」

これまでずっと抑えつけてきた感情が一気に爆発し、怒りに任せて則雄と同じテンションで怒鳴り返した。

すると、則雄はさらに怒りを増幅させ、これまでで一番の大声で怒鳴った。

「帰れ! さっさ消えろ!!  結婚は取りやめだっ!!!!」

その日は、泣きながら自分の家に帰った。しかし、1日経ち2日経ちすると、知恵には後悔の念が押し寄せてきた。やっとのことで結婚できる相手に出会い、新居まで購入したのだ。なんとか修復できないか。その後は何週間にもわたって、何度も何度も泣いて謝ったが、則雄は聞く耳を持たず、「結婚はできない。買ったマンションは俺が引き取る」の一点張りだった。

見た目や年収よりも、穏やかな人がいい

破局に至った経緯をここまで話すと、知恵は言った。

「20代のころ、8年付き合っていた人がいたんです。大学在学中から、30歳になる直前まで。今考えれば、めったに怒る人ではなかったし、その人をもっと大事にして結婚してしまえばよかった。あまりにも付き合いが長すぎたのと、最後の3年は彼が仕事で転勤になって、気持ちがすれ違ってしまった。あのときは彼と別れても、次がすぐ見つかると思っていた。でも、30歳を過ぎたら恋愛できる相手も急激に減ったし、35歳を過ぎてからは、恋愛する相手すら見つからなくなった」

さらに、知恵は続けた。

「3年前結婚相談所に入った当初は、年収、見た目にこだわっていたけれど、今は、まじめに仕事をする人で、ちょっとしたことでは怒らない、穏やかな人がいいなと思います。でも、そういう人は、出てくるんでしょうかね?」

「出てくるまで、逢い続けましょう。伴走しますよ」

すると、やっと笑顔を作った。

「そうですね。残りの人生をひとりぼっちで生きていくのは、やっぱり寂しいですから」

こうして知恵の新たな婚活が、リスタートした。

鎌田 れい 仲人・ライター

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かまた れい / Rei Kamata

雑誌や書籍のライター歴は30年。得意分野は、恋愛、婚活、芸能、ドキュメントなど。タレントの写真集や単行本の企画構成も。『週刊女性』では「人間ドキュメント」や婚活関連の記事を担当。「鎌田絵里」のペンネームで、恋愛少女小説(講談社X文庫)を書いていたことも。婚活パーティーで知り合った夫との結婚生活は19年。双子の女の子の母。自らのお見合い経験を生かして結婚相談所を主宰する仲人でもある。公式サイトはコチラ

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