ビジネス書のスターが説く、営業の新セオリー ベストセラー作家ダニエル・ピンク氏インタビュー
実は私も、外向的と内向的の中間で、やや内向寄りでもいいことにほっとしたひとりだ。本にも書いたとおり、私はかなり内向的で、診断テストでもそういう結果が出た。愛想がよく、いつも笑顔でというステレオタイプ的なセールスマンでなくてもいいとわかって、ある種の安心感を覚えた。
――ウェブなどでネガティブなコメントを見つけたとき、あなたはどのように「浮揚力」を使うのか?
私が40年前の作家だったなら、ずいぶん違う経験をしていたと思うが、今日の作家と読者との関係は、上下ではなく、対等になってきている。私が本を書けば、誰でもツイッターやフェースブックで、何千人もの人に「ダニエル・ピンクは愚か者だ」「ダニエル・ピンクは間違っている」と発言できる。もちろん愉快なことではないが。
拒絶されても、へこまないスキルは必須
――たぶん、そう言われて喜ぶ人は誰もいないだろう。
まさにそのとおり。誰もいい気持ちはしない。しかし、だからといって、誰かにそれを好きになれ、楽しめと教え込むことはできないんだ。
私も最初は腹が立つが、彼らの声に耳を傾けるようにしている。「どんなことを言っているのか」「その言い分はもっともか」と。そのほうが、あまりめげずにいられる。というのは、「そうか、それはひとつの見方にすぎないな。ここにもっと肯定的な見方もある」と思えるからね。
それに、どんな本を書こうとも、一定割合の人々は必ず気に食わないと言ってくる。「ひどい本だ。コンピュータなんて捨ててしまえ。もう2度と書くな」とか。うれしいことではないが、深刻に受けとめすぎないようにしている。
誰もが自分や自分のアイデアを売り込むようになると、「No」と言われ、拒絶される機会も増えてくる。「No」どころか、もっとひどい言われ方もするだろう。ただし、よい知らせは、浮揚力について科学的な研究があることだ。科学的な裏付けの下で、もっとうまくやるための具体的な方法を見つけることができる。
それに、ウェブサイトでもらうフィードバックをうまく使えばいい。たとえば、探している情報が見つからないと言う人がいれば、見つけやすくすればいい。リンクが機能しないと指摘されたら、修正すればいい。そういう部分では、フィードバックは実際に役立っている。