ビジネス書のスターが説く、営業の新セオリー ベストセラー作家ダニエル・ピンク氏インタビュー
アップルとブラックベリーの命運を分けたスキル
――企業の場合はどうか?
該当する企業はたくさんあると思うが、米国企業では、アップルなどがそうだと思う。 たとえば、明確性のひとつの側面として、既存の問題を解決することから、新しい問題を発見することへ、重要性がシフトしている。アップルは新しい問題発見において、すばらしい仕事をしている。
タブレットを見てほしい。こんなに薄いのに、本も読めるし、映画を見たり、ゲームをしたり、妻にメールもできる。そこに問題があると思わなければ、これほど便利な小型機器を持ち歩けるようにはならなかっただろう。つまり、アップルは異なる問題を発見しているということだ。日本でもアップル製品を使っている人が多くて、来日するたびに増えているからびっくりしている。
それと対称的なのが、ブラックベリーだ。ブラックベリーは電話の性能向上といった既存の問題解決が非常にうまい。ところが、人々は電話で違うことがしたい、タブレットが欲しいと思っていたことがわかった。
外向的でなくても営業マンは務まる
――今回の本に対する読者の反応で、印象的だったのは?
まず、みんなセールスや販売のコンセプトが好きではない。というか、ひどく嫌いだ。低俗で、ずるくて、汚く、人を操り、愚か者っぽくて、油断ならないと思っている。
それに対して、「セールスについて新しい見方ができた。そんなふうに見たことがなかった」という読者からの電子メールが多かった。これが、大きな反応のひとつだ。
もうひとつは、自分でもうまくやれそうだという、安堵のようなもの。特に、多くの人々が反応していたのが、私が紹介したリサーチの結果についてだ。それは、コンピュータシステムであれ、自分自身であれ、アイデアであれ、何かを効果的に売ろうとするときに、特別に外向的でなくてもいいというものだ。実際、あまりにも外向的すぎると不利になる。それを知って、それほど外向的ではない人々は心を弾ませたのだと思う。