「技術さえあれば誰でもいい時代」は終わった 名古屋のスゴ腕ヘアメイク

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独立までのキャリアに学ぶこと

中島さんの独立に至るまでのキャリアは、サラリーマン経験のある自営業者ならば、多かれ少なかれ経験していることだと思う。軽い気持ちで業界に入ったら先輩にしごかれてふてくされ、和やかな職場に移ったら物足りなさを感じる。仕事は好きだけれど譲れない一点があり、他人の会社ではどうしても居心地が悪くなってしまう。営業は苦手なのでひとりで働くつもりはなかったけれど、消去法で独立という選択肢しかなくなってくる。いざ独立してみたら、体の中から不思議な力が湧いてきて初めて気づく。自分は自営業が向いていたのだと。

ただし、会社を設立して若手を雇い、自らは現場を退きつつある中島さんには、新たな景色が見えている気がした。働く姿勢ができていない若者に歯がゆさを感じつつ、自分があこがれて学んできたものすべてを伝えていきたい。美容をテーマにして、新しい分野にもチャレンジしてみたい――。親に甘えた「チャラチャラした女子大生」が天職を見つけ、一人前の経営者になっていく過程には、仕事に対する純粋な気持ちが一貫して流れている。

大宮 冬洋 ライター

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おおみや とうよう / Toyo Omiya

1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーライター。著書に『30代未婚男』(共著、NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ともに、ぱる出版)、『人は死ぬまで結婚できる 晩婚時代の幸せのつかみ方』 (講談社+α新書)など。

読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京や愛知で毎月開催。http://omiyatoyo.com/

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