そんな利恵さんが大失恋をする。2016年のことだ。お気に入りの飲食店で知り合った7歳下の新一さん(仮名)と1年ほど付き合い、「仕事が忙しい」という理由でフラれてしまったのだ。
「私は仕事をがんばっている人が好きなので、彼が休日出勤をしても構いませんでした。応援していたし、年下だけど頼もしく思っていたんです。すごく好きだったな……」
最初は、新一さんのほうが利恵さんに熱を上げていた。でも、気がついたら利恵さんのほうが彼にハマっていた。と同時に、新一さんの気持ちは少しずつ利恵さんから離れていった。
外食好きの利恵さんは、恋愛の愚痴を話せるような親しい関係のお店がいくつかある。三河地方にあるイタリア料理店の女主人と常連仲間にも、新一さんとの恋が終わりそうな話をしていた。その常連客の1人が、現在の夫である2歳年上の康彦さん(仮名)だ。
康彦さんはズケズケ言う人
「酔っていてもいなくてもズケズケ言う人です。本当に嫌な人だな、と思っていました。でも、気持ち悪くはないので無視はせずに言い返していました。『なんでアンタにそんなこと言われなくちゃいけないの!?』とケンカになり、カウンター席の端と端で言い合いになったこともあります。お店には悪いことしちゃったな」
利恵さんに言わせると、何でも言いすぎることがある康彦さんの発言内容は95%が「的外れ」だ。しかし、5%の確率で「ヒントになるような、いいこと」を言ってくれる。そして、何よりも利恵さんがしゃべりやすい相手なのだ。
筆者も同じようなことを妻から言われているので、康彦さんには共感してしまう。そして、男性の側からしても、年齢を重ねるごとにしゃべりやすい女性を求めるようになる気がする。「なぜか余計なことまで話してしまう。つまらない冗談を言って冷たくあしらわれるのも楽しい」と感じる女性もいれば、反対に「どうにも会話が続かない。一緒にいると言葉が出てこない」女性もいる。どちらが結婚相手に向いているのかは言うまでもない。
利恵さんと康彦さんは行動範囲が似ていたためか、店の外でも顔を合わせる機会が少なくなかった。利恵さんも康彦さんとの縁を感じていたのかもしれない。女主人と遊びに行く予定がキャンセルになった際、康彦さんがピンチヒッターに指名されても断ることはなかった。
「映画に行ってから食事することになりました。店の外で会うと、いい意味で普通の人だなと感じたんです。いつものようにしゃべりまくらないし、シャイなところもある。すごく変わった人だと思っていたけれど、意外とちゃんとしていると好印象を持ちました」
無料会員登録はこちら
ログインはこちら