「トイレの貼り紙」レベルの文章を変えるコツ 長い!つまらない!だから読まれない

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これだけで、相手はあなたと同じ認識の土俵で報告書やレポートを読むことができます。この順番で書き出しをはじめ、その後に、目的や利用を表す「なぜ(Why)」と、手段や方法を示す「どのように(How)」という、文章の主目的になる部分を書いていく。こうすれば、あなたの文書は格段に読みやすく、興味をそそるものになるでしょう。

読み手に「頭を使わせる」テクニック

さて、基本の短い文章が書けるようになったなら、忙しい相手に確実に、必要な部分を読んでもらうためのテクニックをひとつお教えしましょう。

それは、「Q&A(問いと答え)」方式で書くことです。相手が疑問を抱く内容を想定し、それに応えていく。たとえば、

地下フロアは、マーケットとしての利便性のみならず、レストラン機能が充実している面も強調すべきである。なぜならイートイン機能のついたコンビニが増え、「買ってすぐ食べる」スタイルが定着しつつあるからである。

と書くよりも、

Q.なぜ、地下フロアのレストラン機能を強調する必要があるのか。

A.マーケットの利便性だけでは顧客満足が得られないから。イートイン機能のついたコンビニが増え、「買ってすぐ食べる」スタイルが定着しつつある。

と、「Q:質問」の部分を設けたほうがわかりやすくなります。

テレビの世界でも「苦しいときのクイズ頼み」という言葉があるように、クイズ形式には人を惹きつける力があります。それは、視聴者に「ちょっと考える」ことを強いるからです。文章も同じ。ときには読み手に「頭を使わせ」ましょう。

『博報堂スピーチライターが教える 短くても伝わる文章のコツ』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

「Q&A」で文章を書いていくテクニックを身につけるには、日頃から何にでも自問自答する習慣を身につけることが大切です。たとえば、スーパーマーケットの店員なら、

「なぜ今日は、肉が売れたのか?」

「それは熱帯夜が3日続いていると訴えたから。危険なほど暑いときは、さっぱりした食品を訴求するより、“スタミナ”を訴えたほうがいい」

「なぜ急に、オイルサーディンの缶詰が売れたのか?」

「受験の季節なので、テレビで“DHAの脳への効果”という情報が流れたから。この季節は、受験生向けの商品が売れる」

など、つねに「なぜ」「~だから」と自問自答するようにします。これも、文章力をアップさせるコツです。

以上、短くても相手の心に伝わる文章のコツをいくつかご紹介しました。企画書、提案書、メール、エントリーシート、SNS、手紙など、文章を書く場面はたくさんあります。これまで文章を書くのが憂鬱だったという人も、コツさえつかめば相手の心に届く文を作ることができ、書くことが楽しくなるでしょう。これらのテクニックが、みなさんの文章力向上に役立てば幸いです。

ひきた よしあき コミュニケーション コンサルタント、大阪芸術大学放送学科客員教授

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Yoshiaki Hikita

早稲田大学法学部卒業。博報堂に入社後、クリエイティブディレクターとして数々のCMを手がける。行政、大手企業などのスピーチライターとしても活動。幅広い業種・世代間のギャップなどを分析し、コミュニケーション能力が高まる方法を伝授する。また、大阪芸術大学、明治大学、慶應MCCなどで教え、「はじめて『わかった!』と心の底から思えた講義」「一生ものの考える力が身につく」と支持を集める。教育WEB「Schoo」では毎回事前予約が約20,000人集まるほどの人気ぶり。著書に『5日間で言葉が「思いつかない」「まとまらない」「伝わらない」がなくなる本』(大和出版)など。

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