「トイレの貼り紙」レベルの文章を変えるコツ 長い!つまらない!だから読まれない
そこで参考にしたいのが、森鴎外が各所に散らばっていた『桃太郎』をまとめた、あの有名な書き出しです。
「むかしむかし(When)、あるところに(Where)、おじいさんとおばあさんが(Who)、いました(What)」
どうでしょう。この一文だけで4つのWを使っています。この順番で冒頭の文章を書いてみると、端的に状況を説明することができるのです。
時間(When)と場所(Where)は、どちらが先でもいいように思いますが、人間の心理は、どこで起きたのかよりも、いつ起きたのかを先に知りたいものなので、この順がベストといえます。
「昨日16時、大手町の鹿島商事で、山崎社長と面会しました」
「2017年6月10日、京都市伏見の㈱ペーパームーンで、太田社長が新製品を発表しました」
「1868年3月14日、田町の薩摩藩邸で、東征大総督府下参謀・西郷隆盛と、旧幕府徳川家陸軍総裁・勝海舟の会談が行われた」
この方法は、報告書やレポートなどを書くときはもちろん、口頭で報告するときにも有効です。シャープな印象を人に与えることができるでしょう。
結論をわかりやすくする「早い話が」の力
こうして、文書を書き出したら、次に続くのは、「結論」です。「結論を先に述べよ」とはよく聞く言葉ですが、とくに、ビジネスでは大切なこと。
非常に参考になるのが、コピーライターの仲畑貴志さんの言葉「『早い話が』と言ってからコピーを書け」です。
「早い話が」という言葉を思い浮かべたのちに「カゼは社会の迷惑です」(武田薬品工業・ベンザエース)となる。
「早い話が」ときて「目の付けどころがシャープでしょ」(シャープ企業広告)と続く。
当時の仲畑作品を眺めながら「早い話が」の力に驚いたものです。
みなさんも、このやり方を応用してみましょう。結論を示す際、前置きはいりません。「早い話が」に続く文章を書くのです。
「(早い話が)これからの受験生には読解力が必要です」
「(早い話が)この商品は、市場導入は時期尚早という結論に至りました」
じつに気持ちよく、結論がわかります。この結論の前に、先ほどの『桃太郎』の冒頭4Wを足してみましょう。
「昨日、東京大学で光永教授と新入試制度について話してきました。これからの受験生には読解力が必要です」
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