無印良品が放つ「食のテーマパーク」の全貌 鮮魚から総菜まで、世界最大店が大阪に開業

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総菜売り場には、野菜を多用したおかずや、種類豊富な弁当も並ぶ(記者撮影)

食品の購入を切り口として新規顧客も開拓する。同社は価格の安さを打ち出すチラシや、有名人を起用したテレビCMのような宣伝広告はほとんど展開していない。それだけに、衣服や家具などの明確な購入目的がなく、無印良品のオリジナル商品の愛用者でもない消費者に対しては、来店動機を創出するのが難しかった側面もある。

その点、多くの人が日常的に購入する生鮮食品を扱えば、来店するきっかけを作ることができる。特に産地偽装や農薬の問題も取りざたされる近年、食の安全に対する関心は高まっている。産地直送などを重視した品ぞろえを前面に打ち出せば、子ども連れからシニア層まで、生活雑貨だけでは取り込みきれなかった客層への訴求効果が期待できる。

急速な横展開はしない

良品計画の足元の業績は好調に推移している。直営既存店の月次売上高は12カ月連続で前年を上回り、2018年2月期も過去最高益を更新する見込みだ。好決算を牽引しているのは採算がよい衣服だが、「衣食住」トータルでライフスタイルの提案を目指す同社にとって、日常生活に欠かせない食品を強化するのは自然な流れでもある。

良品計画の金井政明会長は「地元に溶け込んだ店にしていきたい」と強調する(記者撮影)

もっとも、食を拡充した店舗を急速に横展開するわけではない。今回の堺の店舗の売り上げ動向や生鮮品販売ノウハウの蓄積も勘案したうえで、同様の店舗展開の可能性を慎重に見極めていくとみられる。同社の金井政明会長は「1年くらい経ったときに、本当の意味で地元に溶け込んだお店にしていきたい」と意気込む。

素材の持ち味を生かしたシンプルな商品を軸に、独自のブランドを確立してきた無印良品。食の分野でも、他社にないこだわりで新たなファンを獲得できるか。

真城 愛弓 東洋経済 記者

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まき あゆみ / Ayumi Maki

東京都出身。通信社を経て2016年東洋経済新報社入社。建設、不動産、アパレル・専門店などの業界取材を経験。2021年4月よりニュース記事などの編集を担当。

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