「ネット上の美女」は、なぜ同じ顔になるのか こぞって人気者のメイクを真似ている
もちろん、外見を真似すれば、必ず自己否定的になるわけではない。大切なのは、ソーシャルメディア上の自分と本当の自分をしっかり区別することだと、ブルスティーン氏は考えている。
ワインガーテン氏は、十代が「挑戦をしなくなる」のではないかと憂慮している。
「他の人と同じように外見になりたいという傾向は、これまでよりずっと若い年齢で始まっています。そうなると挑戦や失敗をしなくなってしまいます。私は十代の頃、今考えるととんでもないようなメイクを試していましたが、それはとても良い経験になりました。でも今の若い子たちは、ただコピーしているだけで独創性はありません。残念です」
「みんな同じ外見」の弊害は
エンゲレン氏は「みんな同じ外見」の弊害をこう考える。
「私たち全員が、若く見えるわけでも、唇がぷっくりしているわけでも、肌がすべすべなわけでもありません。全員が同じ外見をすることは、個々の身体的な特徴の否定につながります。それは人々を傷つけることであり、自分が消されたように感じる人もいるでしょう。中には、遺伝的に不可能な外見を手に入れるようと、途方も無い時間を費やす人もいます」
もちろんソーシャルメディアを楽しんでいる全ての人が、均質化された美の基準を取り入れているわけではない。それにソーシャルメディアには利点もある。
「ソーシャルメディアの良い点のひとつは、多様性を伝えるフィードを探せることです。みんなが同じ顔をしたフィードをつくる必要はありません。私は、ソーシャルメディアはある意味、ファッションの民主化につながり得ると思っています。ファッション誌を鵜呑みにしなくていいですから」とエンゲレン氏は述べる。
周りに認められたいと思うのは間違ったことではない。だから、ソーシャルメディアで目にする美を真似していても、恥ずかしく思う必要はない。
気をつけなければいけないのは、画像を見続けることで、自分に対するネガティブな感情が生まれてしまうことだ。エンゲレン氏はこう語る。
「パーフェクトな外見をしている誰かの写真を見ると、自分を否定的に感じてしまうことがあります。それだけではありません。写真を投稿した人も、自分の投稿した写真と、朝起きて鏡に映る顔のギャップの間で苦しまなければいけないのです」
(文:Julia Brucculieri)
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