「都市型仏壇」が売れるようになった発想転換 最初の商品はわずか3台しか売れなかった

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「後から考えると、家具と仏壇が統合されてなかったんですよね。でも“この仏壇はあかん”とは思いませんでした。今の住まいに合う、と受け入れてくれたお寺さんもいて、そうした言葉にも励まされました」と八木社長。八木親子の挑戦は続きます。

「現代仏壇」はご先祖様にスポットライト

それから7年間、家具として、そして仏壇としての本物を目指し、努力を重ねました。営業で回っていた家具屋さんから、仏壇を買った人がチェストを買いに来る、という話を伝え聞きます。テレビの台を買ってその上に仏壇を載せている人がいる、とも教えてもらいました。そのニーズを取り入れて、チェストを組み合わせた仏壇を作ってみてはどうだろうか。こうして出来上がった省スペースの仏壇が好評で、手応えを感じました。

八木龍一社長(写真:八木研)

また社内外での話し合いにも多くの時間を費やしました。そこで出てきたコンセプトが“ご先祖様のステージを作ろう”ということでした。

「日本民俗学の創始者・柳田國男先生の著書に、日本人は古来、家に『魂棚(たまだな)』を設けて先祖を祀る習わしがある、と記されています(『先祖の話』)。これぞ、仏壇のルーツです。現代人に、もっとご先祖様と対話してもらおう、と思いました」

灯篭をやめてダウンライトを採用し、明るいステージの仏壇にしました。仏壇はお寺のミニチュアではない、ご先祖様のステージだ、という想いからです。名前も新しく「現代仏壇」と命名しました。

蝶番も家具だと気にならないですが、仏壇でしかもご先祖様のステージというコンセプトだと細かいところが気になります。軸しかなくネジだけで留める、羽(2枚の金属板)のない蝶番を開発しました。また仏壇の素材としては珍しいウォールナットを使用したのも業界初でした。

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