英政府、ロシア外交官23人に国外退去要請

元スパイの暗殺未遂事件を受けて

 3月14日、英国のメイ首相は、23人のロシア外交官に国外退去を要請する方針を明らかにした。写真はロンドンで同日撮影(2018年 ロイター/Parliament TV handout via REUTERS)

[ロンドン 14日 ロイター] - 英国のメイ首相は14日、英南西部ソールズベリーで今月、元二重スパイのロシア人男性とその娘に軍用神経剤が使用された事件を巡り、23人のロシア外交官に国外退去を要請する方針を明らかにした。

米政府も英国の決定に支持を表明した。

この事件は、ロシアと英国の二重スパイだったセルゲイ・スクリパリ氏(66)と娘のユリア氏(33)が4日に意識不明の重体で見つかったもの。英当局者は、事件で使用された神経剤が1970─80年代に旧ソ連軍が開発した神経剤「ノビチョク」だったと特定した。

英国はロシアに対し事件についての説明を求めていたが、ロシアは関与を完全に否定。メイ首相は議会で、回答期限の14日深夜までにロシア側から信頼できる説明はなかったことを明らかにし、「ロシアの対応は、事件の深刻さを完全に軽んじる姿勢の表れ」と批判。「軍用神経剤が欧州で使用されたことに、皮肉や軽蔑を帯びた挑戦的な態度で応じた」と述べた。

その上で、スクリパリ氏に対する殺人未遂事件と、事件で使われた神経剤にさらされ重体となった警察官への被害の責任はロシア政府にあるとの結論以外は考えられないとした。「これはロシア政府による英国に対する違法な武力行使に相当する」と述べた。

メイ首相によると、国外退去となる23人の外交官は申告されていない情報部員で、1週間内に英国を離れる必要がある。1度の国外退去処分としては過去約30年間で最大規模で、ロシアの英国内での情報収集能力は長年にわたり阻害される。

メイ首相はこのほか、「英国民や英住民の生命や資産を脅威にさらすために利用される恐れがあるとの証拠」が得られた場合、ロシア政府の資産を凍結する方針も示した。

また、6―7月にロシアで開催されるサッカーのワールドカップ(W杯)に英国の閣僚、および英王室のメンバーは出席しないことも明らかにした。

ロシア外務省は英国の措置に対し、近く報復措置を発表することを明らかにした。

米ホワイトハウスは声明を出し、責任の所在はロシアにあるとした英国の判断やロシア外交官を国外退去とするメイ首相の決定を支持すると表明。

ヘイリー米国連大使は、国連安全保障理事会に対し、「即時にこの問題に対する具体策」を講じるよう求めた。

トランプ米大統領とメイ首相は13日に電話会談した際、ロシアが開発した化学物質が事件で使用されるまでの経緯について、ロシア政府は「明確に説明」する必要があるとの見解で一致していた。

ただ、英王立国際問題研究所(チャタムハウス)のロシア専門家、マシュー・ブルゲ氏は、メイ首相が決定した措置は「強硬な対応ではなく、穏健だ」と指摘。「ロシアを抑止することにはならない」と分析した。

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