買収休止のリクシルは成長軌道に乗れるか

アメスタ、グローエ買収で海外M&Aを一旦休止

サンウエーブ工業、新日軽など、国内での大型買収一巡後は、海外企業の物色を本格化。11年8月に米ゼネラル・エレクトリック(GE)幹部だった藤森氏をトップに招き入れてからさらに拍車がかかり、11年末にカーテンウォール(ビル外装材)世界最大手のペルマスティリーザ、今年8月にはアメリカン・スタンダードの北米事業、そして今回のグローエと、矢継ぎ早の買収を実施。その合間には電機メーカーのシャープや家電量販店のエディオンへの部分出資なども行ってきた。

辣腕ディールメーカーとして名を馳せた感のある藤森社長だが、意外にも「海外の大型投資はこれで小休止」と宣言する。これまでの買収で14年度までに海外売上高5000億~6000億円は視野に入った。今後は「内部成長により7000億~8000億円を目指す」(同)。

グローエ買収によって、リクシルは全世界で水回り製品を展開することになる。さらに、高級から中級・マス市場までフルラインに近い製品ラインナップがそろう。販売チャネルの相互活用などでシナジーも期待される。

ただ、実際に効果を生み出すには、販売業者への報奨金の配分や在庫負担が増える取引先への対応など、現地オペレーションに踏み込んだきめ細かい調整が必要になる。また、グローエの場合は「キャッシュフローが銀行の監視下に置かれ、投資などに制約を受ける可能性がある。安定的に収益が出なくなった場合、銀行に経営の主導権が移るリスクもゼロではない」(塩野氏)。

そもそも、内部成長という点では、リクシルはこれまで芳しい実績を上げていない。09年3月期に1兆円強だった同社の売上高は、13年3月期に1兆4364億円と4割強伸びている。だが、増加分は11年末までに買収した企業の売上高総計(買収時点、4124億円)が加わっただけにも見える。株式市場関係者の間では、藤森社長の経営手腕を評価する声がある一方、「海外買収については今後どういう経路で単純な足し算以上の効果を生み出すのか、まだ具体的に見えにくい」(SMBC日興証券の川嶋宏樹シニアアナリスト)といった指摘もある。

リクシルは投資家向けのテレビ会議で国内の製品担当者と外国人スタッフが半々で構成する大陸横断的なインテグレーションチームの構想を披露したという。また、10月から海外部門の執行責任者に、藤森社長と同じGE出身の上西健次氏をスカウトする人事も発表している。

今や住宅設備のコングロマリットとなったリクシル。11年の国内事業統合後、重複費用の見直しなどで3年間に1000億円以上のコスト削減効果があったと説明する。だが、海外事業はエリア展開でも品ぞろえでも買収企業同士で重複する部分が少ない。国内と同様の効果を生み出せるかは、まだまだ未知数だ。

(撮影:ロイター/アフロ =週刊東洋経済2013年10月12日号

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