中国の春節に沸くシンガポールの最新事情

スマート国家ならではの新たな風景が広がる

1月を過ぎても街を彩り続ける巨大なクリスマスツリー。てっぺんを見ると小さく“HAPPY NEW YEAR”という電飾も飾られている(筆者撮影)

むしろ、11月から街をにぎわせてきたきらびやかなクリスマスのイルミネーションは、撤去されるどころか、ますます輝きを増して居座り続けている。一瞬、今日は本当に元日だったろうかと不安がよぎるが、巨大なクリスマスツリーのてっぺんに、申し訳程度に小さく飾られた“HAPPY NEW YEAR”の文字が、今日から“新年”であることをなんとか再確認させてくれる証しだろうか。

日本食料理屋でも、おせちなどの特別メニューを用意はしているものの、このクリスマスムードにかき消されてしまう勢いで、なんとも日本人としては混乱してしまう。企業や店舗も1月2日からはほぼ通常営業、元日が明けた翌日は普通に出勤するサラリーマンや、通学の子どもたちの姿を目にすることになる。

いよいよ始まる春節仕度 街が真っ赤に染まる

こうして、年が明けたのかいまいち判然としない、クリスマスがだらだらと残り続けるない混ぜな雰囲気が1月中旬ほどまで続いた後、春節は徐々に始まっていく。中華系住民が7割以上を占めるシンガポールの新年の幕開けだ。少しずつ街中は赤色に染まってゆき、欧米系の服飾ブランドも軒並み、中華風のお祝いデザインに様変わりする。

中華仕様に彩られたチャイナタウン。春節前は、中華系シンガポール人たちの買い出しも殺到し、歩くのも困難なほどに混雑する(筆者撮影)

なにより圧倒されるのは、チャイナタウンだ。文字どおり目もくらむほどに真っ赤な装飾や売り物で埋め尽くされるなか、春節前の買い出しに人々が殺到する。念入りに大掃除を終えた中華系シンガポール人たちは、家族や親戚が勢ぞろいする年に一度の祝いの日に向け、ご馳走に必要な食材や運気を上げるグッズなどの買い出しに余念がない。

この時期、中華系のお宅にお邪魔すると、玄関先には赤いランタン、居間に上がると派手な春節仕様のデコレーションで、まるで自宅が高級中華料理店に変貌したかのような勢いに驚かされる。

なかでも、長蛇の列ができるのはバクワと呼ばれるシンガポール名物のポークジャーキー屋。干し肉を砂糖やスパイスに漬け込み、甘辛く味付けして炭火で焼いたもので、保存食としても人気の一品だ。古くは中国福建省の人々が、貴重な栄養源であった肉を味付けして干していた保存食を、東南アジアに移民として渡った時に持ち込んだのが由来とされている。今では、めでたい場での贈答品としても重宝されており、旧正月に買い求める客は後を絶たない。

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