中国の春節に沸くシンガポールの最新事情 スマート国家ならではの新たな風景が広がる
世界の春節を4回の短期連載で巡るシリーズ。注目するのは、中国人観光客の人気エリアトップを誇る東南アジアだ。
「日本よりも中国人旅行者が集うタイの魅力」(3月6日配信)、「マレーシアが中国人旅行客を大歓迎する事情」(3月9日配信)に続く第3回は、世界中から投資家や起業家が集結し、スマート国家を掲げるシンガポールの春節をリポートする。
クリスマスにかき消される西暦の正月
シンガポールの春節を語る前に、まずはさかのぼることクリスマスシーズンから話を始めたい。シンガポールでは、常夏の国であるにもかかわらず、11月に入ると早々に街中がクリスマスムードに染まり始める。東南アジア最大級とも言われるオーチャードロードのイルミネーションでは、2キロメートル以上の区間にわたって高級ブティックや外資系ハイエンドホテルにまばゆいばかりの装飾が施され、まるで夢の国にいるかのような幻想的な空間が、大勢の観光客を引きつける。
日本と大きく違うのは、クリスマスの25日が過ぎても、そのイルミネーションは一向に撤去される気配がないことだ。
大みそか。そのシンボリックな姿で有名なマリーナベイ・サンズを見渡す会場で、カウントダウンのイベントは行われる。新年が明けた瞬間は花火も打ち上がり、相応に盛り上がりを見せた。しかし、翌日。“元旦”のオーチャードロードを訪れると、そこはいまだにクリスマスムード全開のまま。いわゆる、新年を迎えた、いそいそとした空気感はほぼ皆無だ。
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