42歳、元日本代表DF森岡がJ3監督で描く大志

今季の目標J2昇格、鳥取で愛されるクラブに

ガイナーレは鳥取市の「とりぎんバードスタジアム」がメインのホームスタジアムで、米子市の「チュウブYAJINスタジアム」がセカンドホームとなっている。が、練習場は米子市内にあるため、とりぎんバードスタジアムで試合をする場合は約100kmの距離を片道2時間かけて移動しなければならない。

アウェーも含めた移動距離の長さ、その負担は想像を絶するほど大きく、選手たちには疲弊の様子が見て取れたという。アウェーに至っては、一番近いのが約200㎞離れた大阪。その次が480㎞離れた北九州というから、いかに大変かよく分かる。

森岡隆三(もりおか りゅうぞう)/サッカー指導者。元サッカー選手。ポジションはDF(ディフェンダー)。神奈川県生まれ、桐蔭学園高校卒業後、鹿島アントラーズ入団。清水エスパルス、京都サンガを経て2008年現役引退。日本代表ではフィリップ・トルシエ監督体制下でフラット3システムの中心選手として活躍した(撮影:今井康一)

「人工芝で練習しているJ3のクラブがいくつもある中、天然芝のグラウンドを使えるだけでも恵まれているのは分かっています。だけど移動負担は物凄く重い。

極端な話、7時間くらいの移動はそこらへんのコンビニに行くような感覚になっていますから(苦笑)。

昨年、一番遠かったのが12時間かかった栃木。朝5時半に出発して、17時45分頃に到着しました。当然練習は行わず、コンディションを整えるのに途中のサービスエリアでストレッチをするのが精一杯。次の日が17時キックオフのゲームだったので、朝公園でボールを蹴ってから本番に挑みました。結果は、1−1のドロー。選手たちはホントによく頑張ったと思う。ただ、それじゃあシーズン通しての結果は残せない」と森岡監督はしみじみ語る。

昨季J3で最下位の17位に沈んだことを真摯に受け止め、自分自身の力不足を認識したからこそ、「勝てる体制を作る必要性」をクラブ側に直談判したのである。

今シーズンは現場環境が好転

その結果、今季からとりぎんバードスタジアムでのホームゲームを含め、公式戦前日は全て前泊できることになった。移動手段もバスでは個人個人のコンディションニングが難しいため、できるだけ鉄道を利用する方向にシフトするという。この変更だけでクラブにとっては数百万~1000万単位の負担増となるが、塚野真樹社長、そして「ジョホールバルの歓喜」で決勝点を挙げた元日本代表FWの岡野雅行GM、この2人の代表が「何とか現場にベストな環境を整えてやろう」と努力したことで、劇的な環境の変化が実現したのだ。

「今年は絶対に勝つよ!」

森岡監督もこう語気を強めている。

「2018年の目標は勝ち点50、総得点50、総失点30。2017年は勝ち点21、総得点31、総失点63だったから、いかに高い目標設定か分かるでしょう。僕自身も去年は就任1年目で『クラブの財政事情を考えたらしょうがない』とどこかで逃げ姿勢を見せていたかもしれないけど、2年目の今年は同じことを繰り返してはいけない。『勝つ』と公言した以上はやらないといけない。そういう状況にあえて自分を追い込みたかったんです」

鳥取県は国内最少人口の県。県庁所在地の鳥取市が20万弱、第2の都市・米子市が15万弱と非常に規模が小さい。1試合あたりのホームゲーム平均観客動員数も2015~2017年の3シーズンは1900、1800、1500人台と減少傾向を辿っていて、年間運営費も4億円台とかなり財政基盤は脆弱だ。

森岡監督が現役時代を過ごした鹿島アントラーズや清水エスパルス、京都サンガとはかけ離れた状況だが、だからこそ、やれることは少なくない。単にピッチ内で選手たちを指導して、勝てるチームを作るだけにとどまらず、町に愛されるようなクラブにすること。それを今、彼は思い描いている。

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