超有望!「人工食肉」が世界を救う根本理由 チャーチルは約90年前に予想していた
2014年から、筆者はクリーンな牛肉、アヒル、魚、チョリソー、レバー、そしてヨーグルトを口にする機会があった(多分驚くことではないが、クリーンミートは肉の味がする。まあ、もちろん肉そのものだからだが)。
興味を持っているのは筆者だけではない。米食肉加工大手タイソンフーズと、米穀物メジャーのカーギルがクリーンミートの新興企業、メンフィス・ミーツに投資するなど、こうした製品は既存の食肉業者からかなりの注目を集めている。カーギル傘下のグロースベンチャーのソニア・マッカラム・ロバーツ社長は、「これは私たちにとって脅威ではなく、好機だ」と『フォーチュン』誌に語っている。
なぜ培養肉が必要なのか
誤解のないように言うと、チャーチルが想像したクリーンミート、またメンフィス・ミーツのような企業が生産し始めているのは、単なる肉の代替品ではない。それは、命があり意識のある動物を使わずに生産された、動物の実際の筋肉組織だ。鶏や豚を絞めて肉の塊として売るのではなく、クリーンミートの生産者はわれわれが普段食べている肉のように筋肉組織を育てるために、微細な動物の細胞を、体内と同じように機能するよう培養器に入れエサを与える。
では、なぜ人類は、チャーチルが提案したように、家畜を使わずに本物の肉を生産したいのだろうか。理由の1つは、家畜を育てるのには、莫大な資源を要するからだ。
わかりやすく説明するために、近所のスーパーの鶏肉売り場を想像してもらいたい。鶏肉1羽の横に、1ガロン(3.8L)の水が1000杯置かれているとしよう。これが、トリ1羽を卵から孵(かえ)し、スーパーの棚に導くのに必要な水の量だ。言い換えれば、6カ月間シャワーを浴びないよりも、鶏肉の晩餐を1回見送るほうが、より多くの水を節約することができるのだ。