「二重の打撃」団塊世代75歳超の「2025年問題」と「コロナ禍」 深まる日本経済の財政依存構造と、自律性回復への期待

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コロナ禍
コロナ禍が日本の経済社会にもたらしたものとは(写真:清十郎/PIXTA)
2025年に団塊世代が後期高齢者となる「2025年問題」。その準備の最中に、未曽有の事態である新型コロナ禍が世界を覆い、日本の社会経済構造にも大きな変化をもたらした。本稿では、『アステイオン101 コロナ禍を経済学で検証する』を編集した土居丈朗氏が、経済学を軸に新型コロナ対策を改めて検証し、再評価する際の論点と、今後の日本社会のあり方を提示する。

予見された高齢化、予期せぬコロナ禍

2025年は、団塊世代(1947~1949年生まれ)がみな75歳以上になる年である。わが国の高齢者向けの政策の多くは、2025年を目指して体制整備を進めようとしてきた。

75歳以上になると、何かと自力では生活するのが難しくなり、病気やけががなくても周りの人々の介添えが必要になったり、病気やけがが多くなりがちな身体状態になってゆく。

定義上、65歳以上を高齢者と称するが、いまや65歳を超えても従来のように元気で働く高齢者が増えている。とはいえ、75歳以上になると、さすがに多くの人がそうだとはいえなくなってくる。

こうしたわが国の人口動態の変化は、以前から予見できていた。65歳以上1人に対して15~64歳は、2000年では3.9人だったが、2025年では2.0人、そして2050年には1.4人となると見込まれている。

人口構造からみて、誰かに依存して生活する人が多くなる構造が深まってゆくのが、わが国の未来であり、それにどう備えるかが様々に議論されているところだった。

ただ、予見できなかったことは、2020年に新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の感染拡大によって、経済構造にも不可逆的な変化をもたらしたことだった。

このコロナ禍が、わが国の依存構造を改善するのに資するものだったら、コロナ後の日本は、高齢化や人口減少がさらに進むとはいえ、自律的で活発な経済活動が営まれる明るい未来が垣間見えたのかもしれない。

ところが、コロナ禍が日本の経済社会にもたらしたのは、依存構造のさらなる深化だった。

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