後継候補に去られたナルミヤが苦渋の決断

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後継候補に去られたナルミヤが苦渋の決断

また一つ、投資ファンド主導の企業再生が動き始めた。SBIホールディングスが、子会社のSBIキャピタルを通じて、TOB(株式公開買い付け)で傘下に収めるのは、子供服のナルミヤ・インターナショナルだ。(『週刊東洋経済』7月28日号より)

 TOBの買い付け上限は約67%で上場は維持する。創業者で筆頭株主の成宮雄三社長と成宮家の親族3人(計約38%の株保有)は賛同しており、友好的買収となる。

『ニコラ』(新潮社)や『ピチレモン』(学習研究社)といった女子小中生向け雑誌とのタイアップやイベント展開でジュニア市場を開拓し、急成長を遂げたナルミヤ。が、2005年3月のジャスダック上場後は業績が低迷。ブーム一巡で客足が伸び悩み、社内から多くの人材が流出。06年度の営業利益はピーク時の1割にまで落ち込んだ。

 今回の身売りは、これまで強力なリーダーシップで会社を率いてきた雄三社長が、70歳を過ぎ、後継者対策として採った選択でもある。

 かつて次期社長と目され、経営企画室長を務めた雄三社長の長男・一雄氏は、経営修士号を携えて社内改革を断行。だが、社長の方針と対立して05年に退社した。現在、自身で立ち上げた子供服のセレクトショップ事業で上場を目指している。一雄氏は昨秋以降、保有株を市場で大量売却。年初約14%の保有割合は4%未満に下がった。株安の一因となった形だ。

カギ握るリヴァンプ

 TOB成立後、SBIキャピタルは持ち分の約7%を、かつてファーストリテイリングの急成長を支えた澤田貴司氏らが率いるリヴァンプに譲渡する方針。流通や小売りの改革に定評があり「あのユニクロの立役者で、経営のプロ」と雄三社長の評価も高い。

 一方、SBIキャピタルは、これまでに中堅中小企業を中心に10件以上の投資案件で、おおむね売却益を出している。「投資効果や進捗状況を週次で徹底的に管理するのが強み」と自負する。

 ナルミヤが当面の課題とするのは、今秋開始するショッピングセンター(SC)への出店。百貨店中心に販路を築いてきたが、今春ようやくSC向けブランドを立ち上げた。強烈なカリスマ性を持つ創業社長を、若いプロ集団がいかにサポートするか。今後はチーム力が問われそうだ。

(書き手:堀越千代、武政秀明 撮影:尾形文繁)

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