初対面の人でも一瞬で打ち解ける3ステップ 相手の目を見て挨拶し、名前を呼んでみよう

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そのあとは、メニューの追加を頼むときなどに、ただの「ちょっと!(Hey!)」ではなく、「ビルさん、すみません!(Bill, come here!)」と、しっかり名前で呼べばいいのです。ほかのお客さんがやらない分、ウェイターさんもうれしいわけで、喜んで飛んできてくれます。

「これ」だけで最高のおもてなしを受けられる

「ウルフギャング」に初めて行ったときには、バルコーという名前のウェイターさんと仲良くなりました。私は初日から「ヘイ、バルコー!」と名前で彼を呼びました。

ちょっとした雑談から、彼がアルバニア出身だと知ったので、次に行ったときはアルバニアという国の歴史を少しだけ予習していって、彼に話すと喜んでくれました。そしてついでに「今日は日本からのお客さんを連れてきたから、よくしてあげてね」と彼に耳打ちしたのです。

一緒に来ていた日本の取引先の人たちも、彼のとびきり丁寧な接客に喜んでくれたのはいうまでもありません。

関係が生まれたのはバルコーだけではありません。彼と私が笑顔で会話をかわしている様子を見て、ほかのウェイターたちも注目します。

そして、バルコーがキッチンに戻ると、「あの日本人、何だって? 何、親しそうに話してたんだ?」と興味津々で聞いてきます。

バルコーはすでに私と仲良しですから、「彼が日本人のお客さんを接待してるんだってさ。面白い人だから、よくしてあげてよ」と言うわけです。するとほかのウェイターも、水やパンを持ってくる際に「お味はいかがですか?」などと、私たちに愛想よく対応してくれるというわけです。

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そんなふうにバルコーを皮切りに、同僚のウェイターさんたちと次々と仲良くなったおかげで、私が「ウルフギャング」に行くと、自然といちばんいい席に案内してもらえるようになりました。

私以上におカネを使う上客の人はいっぱいいるにもかかわらず、その中で私が厚遇してもらえるのは、そこで働いている人たちとの間に濃い人間関係が築けているからにほかなりません。

そこに至るまでに私が心がけたことといえば、目を見て、あいさつの声をかけ、名前で呼ぶという、簡単な3ステップを行動に移しただけ。このように、有名レストランで厚遇される常連客になるにしても、特別なおカネをかける必要はないのです。

酒井 レオ NPO法人PYD創業者、元バンク・オブ・アメリカ ヴァイスプレジデント

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さかい れお / Leo Sakai

ニューヨーク生まれ、ニューヨーク育ちのバイリンガル日系アメリカ人。ワシントン大学ビジネスマネージメント専攻卒業後、JPモルガンを経てコマース銀行(現TD銀行)に入社。その後、バンク・オブ・アメリカに転職し、2007年、史上最年少にして「全米No.1」の営業成績を達成。社内各賞を総なめにするとともに、30代前半の若さにしてヴァイスプレジデントに就任する。同年、アメリカンドリームに挑戦しようと渡米してくる人たちを応援したいとの思いから、NPO法人のPursue Your Dream Foundation(PYD)を設立。グローバルビジネス教育の世界へ転身を果たす。2009年12月には「PYD Japan」を設立。現在、数カ月おきにニューヨークと東京を行き来しながら、金融、IT、メーカーなどあらゆる業界を対象に、社長・役員のためのエグゼクティブコーチングから、マネージメント研修、新人研修まで幅広く指導を行っている。

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