紳士服最大手で「洋服の青山」や「THE SUIT COMPANY」などの店舗を運営している青山商事では、大学などで就活生向けに「スーツの着こなしセミナー」を数多く開催している。その担当者で法人部課長の後藤康文さんは言う。
「学生の方々はビジネススーツを着慣れていない方がほとんど。その結果、スーツを着るときの“基礎知識”が欠けていることが多い。そのために『だらしない人かな』『清潔感が足りないな』と、面接官や採用担当者の第一印象を悪くするリスクがあるわけです」(後藤さん)。
心理学に「メラビアンの法則」と呼ばれるものがある。人が目の前の誰かの印象を決めるときの要素として、”見た目”を表す視覚情報が全体の55%を占め、聴覚情報(話し方)が38%、話す内容は7%に過ぎない、というものだ。寝ぐせなどが残ってたり、だらしがないシャツやスーツの着方をしていると、見た目の印象も悪くなってしまう。
では、そんな誤解を生じさせないように、覚えておきたいスーツ着こなしの“基本のキ”とは? 「だらしがない」、「清潔感が足りない」と思われてしまう、NG着こなしを紹介しながら、ひもといていきたい。
だらしないのは、それだけでもったいない
NG① ジャケットのポケットにスマホが入っている
「ガラケーならいいのかな?」という話では、当然ない。思わずやりがちなNGの代表がこれ。携帯電話に限らず、「スーツのジャケットのポケットに、モノを入れて着てしまう」ことだ。スーツはそもそもウールの平織り生地を中心とした薄手の生地を使っている。そこに存在感の出るスマホや財布、キーホルダーなどを入れたら、シワが寄るだけではなく、シルエットも大幅に崩れる。結果、本人が思っている以上に、だらしなく映ってしまうわけだ。
「よく言われることですが、テーラードジャケットのポケットは小物入れではなく、“飾り”だと認識しておきましょう。何か入れるとしても、目立ちにくい胸の内ポケットに、名刺入れを入れるくらいにしておきたいですね」(後藤さん)。
普段着ているカジュアルウェアのノリで、「上着のポケットにスマホを入れていた」だけで、「だらしがないな」という第一印象を持たれるのは、あまりにもったいない。スーツのときは、スマホや財布は、バッグの中にしまっておこう。
NG② ジャケットの袖からシャツが見えていない
細かすぎるようで、大きな差を生むのが、この着こなしだ。ジャケットの袖丈は、まず手を下ろしたときにくるぶしが隠れるくらいがちょうどよく、かつシャツの袖が1cmほどジャケットの袖から見えていると、とても清潔感が出て、美しく見える。ショップの店員のジャケット姿が、なんだか洗練してみえるのは、実は袖元の差にあるといってもいい。
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