13歳と15歳の日本人が見たフィリピンの現実 僕と私は取材で子どもたちの困難を知った

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山邊:一見豊かに見えるフィリピンですが、やはり「経済格差」は課題です。貧困層の人々は環境が整備されていないスラム街と呼ばれる地域で暮らし、食べるものもままならないという人もいます。私がフィリピンに着いていちばん驚いたことは、空港の周りの街が発展している様子です。たくさんのビルが立ち並んでいて、「まるでニューヨークだな」と思ったくらいです。「本当にこの街に貧しい子どもたちが住んでいるのかな」という気持ちが湧いてきました。

私はバスに乗ってホテルまでの移動中、1人だけそわそわしていました。「ストリートチルドレンの子どもたちが実際に目の前に現れたらどうすればいいんだろう」、と妙に身構えてしまっていたからです。「今まで本やインターネットで見てきた子どもたちが実際に目の前に現れるかもしれない」、そう思うとなんだか落ち着きませんでした。

その時、高速道路の真ん中のカラーコーンが固まって置いてある場所に、小さな女の子が3人いるのを見つけました。ひっきりなしにクラクションが鳴り車がビュンビュン走る中、薄汚れた小さな3人が身を寄せ合っていました。その後コンビニエンスストアに行った時にもストリートチルドレンに出会いました。彼らを尻目に店内に入る時、私は心の中で何度も「ごめんね、ごめんね」と言いました。

すると、なんと彼らは、ガラスの壁に張り付いて手を振ってきたのです。私が恐る恐る手を振り返すと、もっとうれしそうに手を振ってきました。しかもその表情は、私が今まで見た中で一番キラキラと輝いた本当にすてきな笑顔でした。そのやせた体と破れた服の悲惨さと、その笑顔の明るさがアンバランスすぎて、なんだか泣きそうになってしまいました。そこで、安田菜津紀さんと一緒にその子たちにインタビューをしてみることにしたのです。「どこに住んでいるの? 名前はなんと言うの?」そんな簡単な質問ばかりでしたが、彼らはすごくうれしそうに答えてくれました。初日は子どもたちの現状を初めて目の当たりにしたことにより、ただただショックを受け続けた1日でした。

ストリートチルドレンは、なぜ路上に出るのか

栁田:2日目、僕たちはストリートチルドレンが暮らしている路上へ向かいました。とてもにぎわっている大通りから少し曲がったところで、たくさんのストリートチルドレンが暮らしていました。初めの印象は、「何か独特な臭いがするなあ」という感じでした。僕は気になってスタッフに何のにおいか聞くと、シンナーのにおいだとわかりました。子どもたちを見てみるとみんなビニール袋を隠し持っていました。そのビニール袋の中には接着剤のようなものを染み込ませた布が入っていました。

かわらしい袋でシンナーを吸っている子もいて…〈写真:©️国境なき子どもたち(KnK)〉
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