ヘリ空母は日本の安全保障をどう変えるのか 山下万喜自衛艦隊司令官インタビュー

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海上自衛隊が運用するヘリコプター搭載護衛艦(筆者撮影)
北朝鮮の核ミサイル開発や中国の海洋進出によって、日本を取り巻く安全保障環境が悪化している。そんな中、四方を海に囲まれた海洋国・日本の海をどう守っていくのか。国際軍事専門誌『ジェーンズ・ネイビー・インターナショナル』と『ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー』の取材の一環として、海上自衛隊の山下万喜自衛艦隊司令官(海将)に、海自の近代化の取り組みや今後の課題について聞いた。
ジェーンズでは、海上自衛隊史上最大の艦艇である護衛艦「いずも」(全長248メートル、全幅38メートル、高さ49メートル)を、「ひゅうが」「いせ」「かが」と同様、「ヘリコプター空母」とみなしている。「いずも」をめぐっては、現在、内外のメディアで、短距離離陸と垂直着陸が可能な最新鋭のステルス戦闘機F35Bを搭載できるように改修する計画が取りざたされている。
山下司令官は現時点で「いずも」を改修し、F35Bを搭載する計画はないと明言。ただし、大きな甲板を有する「いずも」の拡張的な利用価値を踏まえ、「当然、いろいろなことを考えていかなくてはいけないことのうちの1つだと思っている」と述べた。インタビューは2月13日に行った。

 

【2月27日12時30分追記】記事初出時、「ひゅうが」「いせ」「かが」に続く4隻目の「ヘリコプター空母」とみなしていると表記していましたが、「いずも」は2015年、「かが」は2017年の就役であり、誤った表現でした。そのため、上記のように訂正します。

いずも型護衛艦をどう使うのか

――海上自衛隊は、近代化にどのように取り組んでいるのか。無人機システムを含め、近代化の方向性についてまず伺いたい。

近代化の方向性について短い時間で説明するのは難しいかもしれないが、キーワードで表すとするならば、「スピード」と「レンジ」だ。スピードというのはわかりやすいと思うが、レンジは覆域と言ってよいもの。ミサイルのレンジやレーダーのレンジ、ソナーのレンジなどがある。

このスピードとレンジが海自の近代化の方向性になるが、それを総合的に考えたときに必要になってくるのがネットワークだ。スピードとレンジを考え、ネットワークをどのように生かすのかを考えたときに1つの答えとして出てくるのが、無人機だ。もちろん無人機だけに頼るわけではない。

――日本の新しい艦艇である「いずも」や「ひゅうが」といったDDH(ヘリコプター搭載護衛艦)は、海自の作戦やドクトリン(方針)にどのような変化をもたらすのか。

「ひゅうが」「いせ」「いずも」「かが」は、もともと4隻あったDDHに取って代わり、新型の大きなDDHで更新したものだ。これらの4隻をどう使うかは、先ほど述べたスピード、レンジ、ネットワークという近代化の方向性の中で、今後さらに使い方を考えていくことになる。そうした幅を持ったものだろうと思っている。

最初からここにこう使うということで作り上げたものではない。今後30年、40年使っていかなくてはいけない船を、そうした近代化の方向性の中でどのように使うのか。たとえば、いずも型護衛艦をどう使うのか、まさに今、考え、検討しながら運用している。

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