どうすれば「運」を引き寄せられるのか? 特別対談 松本大×三田紀房(その3)
対談(上):好奇心と運の強いヤツだけが一流になれる!
対談(中):一流のトレーダーと漫画家に共通すること
(構成:鈴木雅光、撮影:今井康一)
ソロスは運を重視する
三田:漫画家って、前回も話しましたが、なろうと思えば意外となれる。ここまでは比較的たやすいのですが、問題はなり続けることですね。漫画家は雑誌に掲載されてナンボの世界ですから、そのための努力が必要になってきます。
雑誌に掲載されるような漫画を描くためには、とにかく新しいアイデアを考えなければなりません。そのための努力が必要になってきます。
でも、努力だけではダメで、やはり運も必要です。たとえば、自分の思いついたアイデアが、編集長の好みに合うかどうかとか、自分がアイデアを出すちょっと前に、ほかの作者が同じようなアイデアを思いついて、すでに編集長に伝えてしまったとか、タイミングなどの問題も含めて、運の良し悪しってあると思うんですよ。
ただ、僕は運というものに対して、何の働きかけもできないとは思っていなくて、ひょっとしたら自分の努力によって、運を上げることは可能なのではないかと思うわけです。たとえば漫画家であれば、雑誌のテイストに近い内容の作品を描いてみるとか、時代の流れに合致した内容にしてみるとかね。不運を嘆く前に、やるべきことはたくさんあるのではないでしょうか。要は、運があると思える方向にアクションを起こせば、自然と運は付いてくると思います。
松本:それはとても面白い話だと思います。トレーディングも運が必要なんですよ。運って、偶発的なものなのかというと、実はそうでもなく、運の悪い人は自ら、悪運を引き寄せている感があります。
ジョージ・ソロスのような巨大投資家は、運が良いのか、悪いのかということを、とても重視しています。どういうことかというと、世界で最も影響力のある巨大投資家だけの、ごく少人数のコミュニティがあって、そこでは世界の経済情勢、政治の動き、あるいは国際動向などについて意見交換されているのですが、このコミュニティは運が良いとお互いに思っている人同士でつながっているのです。人数的には10~20人程度でしょうか。
当然、「あいつは運が悪いよね」と思われている人は入れないし、以前は運が良くても、その後、悪くなったという人もはじき出されます。非常にシビアな世界ではあるのですが、それだけ運用の世界でも、運は重視されるということです。
まあ、考えてみれば、「運用」というのは「運」を用いると書くわけですからね。