どうすれば「運」を引き寄せられるのか? 特別対談 松本大×三田紀房(その3)
三田:運って、どうすれば引き寄せられると思いますか?
松本:先日、アメリカに住む知り合いが、警察に止められたというんです。彼は今、アメリカの大学に留学しているのですが、日本からアメリカに戻り、空港でスーツケースを受け取ろうとしたら、いつまで経っても出て来なかった。ほかの空港に行ってしまったのですね。仕方がないので、スーツケースは後日送ってもらうことにして、空港に停めておいた車に乗ったら、片方のライトが点かない。ツイてないな~などと思いながら走り出したら、今度は警官に停められた。整備不良車に乗るなということなのですが、そのとき、ビザの提示を求められた。
でも、残念なことに学生ビザは、他の空港に行っちゃったスーツケースの中に入っていたんですね。その後の経緯は詳しく聞いていませんが、大変だったようです。この一件を彼は、「本当に運が悪かった・・・」と言っていたのですが、私は「それは運が悪いのではなくて、リスク管理が悪かったんじゃないの」と言いました。
つまり、運をいかにして引き寄せるかという前に、運はリスク管理をしっかりしていないと、自分のところからどんどん逃げていくものなのだと思います。
三田さんは、その点、どうお考えですか。
三田:運って、あきらめない人のところに回ってくるものだと思います。前回もちょっとお話しましたが、僕のところでアシスタントをしていた人は、独立してもなかなか仕事を取ることができず、再び僕のところでアシスタントをしたいと言ってきましたが、そこでもう一度、ほかの出版社に行って売り込みをしたからこそ、連載をもらうことができたのです。
あきらめるのは簡単。あがかないとね。とにかくチャレンジする、トライするという姿を、僕はちゃんと神様が見ていてくれていると思っていて、それらは運を引き寄せるためにも大切なことだと考えています。
松本:それも同感ですね。1985年の米ドル/円は、1ドル=250円をつけていたのが、1987年には120円前後まで円高が進みました。当時、外資系金融機関は日本人の給料体系を米ドルベースで決めていたので、円ベースにしたときの給料が大幅に減ってしまったのですね。
そのとき、外資系金融機関に勤めていた人たちからは、「もう俺たちの時代は終わったな・・・」という声が聞こえてきましたし、私もその話を聞いて、「しまった」と思ったのですが、よく考えてみると、決してそんなことはないだろうと・・・。
野球もそうですが、ボール球ばかりが飛んでくることはありません。いつか必ずストライクボールが飛んできます。大事なのは、そのチャンスをとらえてきちっと打ち返せるかどうかということです。そのためには、日頃からしっかり素振りをするなど、鍛錬しておかなければなりません。そう思うようにしたのです。
確かに、1987年にかけて円高は進みましたが、その後はご存じのように、日本はバブル経済へと突入しました。その後のバブル崩壊によって、日本経済は塗炭の苦しみを味わうことになりましたが、投資をするうえで絶好のチャンスでもありました。私がそこをうまくジャストミートできたのは、やはり厳しい局面でもしっかり素振りを繰り返していたからだと思います。