日本郵便「郵便・物流イノベーション」の本気 スタートアップとの連携によって革新

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そして、今回のピッチコンテストで最優秀賞に輝いたのはオプティマインド。同社は名古屋大学の技術を生かした大学発ベンチャーで、物流・配送分野での組み合わせの最適化と機械学習に強みを持ちます。このプログラムでは、ゆうパックの配送の最適化に挑みました。

ゆうパックの配達担当者は、毎日、配達の前に荷物伝票と地図を見比べて配達の順番や経路を決めます。日々届け先が異なるので、実はこれが時間をとる大変な作業なのです。ベテランになるとコツがつかめて、効率的な配達経路を見出し素早く回ることができますが、人事異動で別のエリアに配属されると、また一から学び直し。ましてや新人にとっては慣れるまでにかなり労力を要します。

自らドライバーとなって実証

オプティマインドのチームは、今回、実際に埼玉県の草加郵便局に入って現場スタッフとともに、アルゴリズムと機械学習による配送効率化の実証をしました。同社の松下健社長は自らドライバーとなって実証を行うなど、技術面での磨きをかけました。その結果、まずは、新人が配達に要する時間を50分程度短縮することに成功。実用化に向けての手応えを得ました。

プレゼンテーションをするオプティマインド 松下健社長(写真:日本郵便)

松下社長は連携について、次のように語ります。

「当社の技術は、論文の上では、世界的に強い技術なので、社会実装へのステップができればと思っていました。日本郵便さんのような大きな配送・物流を持つ組織であれは、数%での効率化も大きな社会インパクトをもたらします。とても良い機会をいただいたと思っています。今回、郵便局での実証では、局長はじめベテランのドライバーさんがとても熱心に協力してくださいました。現場の方と一緒に動きながら、使いやすいシステムを作り上げたいと思っています」

メンターとなった日本郵便の郵便・物流業務統括部長の三苫倫理(みとま のりまさ)氏は語ります。

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