五輪で注目、「北朝鮮美女軍団」は何者なのか 宣伝扇動の役割も担うウーマンパワー

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また、北朝鮮のメインの歌手の登場に韓国側の関心も高まった。北朝鮮の最高峰、青峰楽団所属とされる女性歌手、キム・ジュヒャン氏のことだ。

彼女は、2000年6月に行われた初の南北首脳会談前に会談祝賀公演団の最年少団員としてソウルを訪れ、その歌のうまさで聴衆を魅了させたことで一役、有名になった。

その後、訪朝した韓国記者団などの前でも歌を披露し、韓国メディアではよく知られた北朝鮮芸術家の一人だ。ポップスから民謡までなんでもこなすトップ歌手として知られている。そんなキム氏をメインに据えたことも、韓国側の状況を把握したうえでのことだったのだろう。

ウーマンパワーの破壊力

訪韓芸術団の団長に南でもすでに有名だった玄松月(ヒョン・ソンウォル)・朝鮮労働党宣伝扇動部副部長、高位級訪韓団に金委員長実妹の金与正(キム・ヨジョン)氏、そして主要芸術団員に女性中心の応援団。前出の李氏は「北朝鮮のウーマンパワーの破壊力は強かった」と言う。

韓国人の北朝鮮に対するイメージ改善効果に加え、北朝鮮とも対話を進めたい文在寅(ムン・ジェイン)大統領を抱き込むことにも成功したかのようだ。「故・金正日総書記以来の芸術外交、宣伝扇動は今でもしっかりと実行されている」(李氏)。ただ、その効果が今後の朝鮮半島情勢にどのような影響を与えるのか、現時点では未知数と言わざるを得ない。

福田 恵介 東洋経済 解説部コラムニスト

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ふくだ けいすけ / Keisuke Fukuda

1968年長崎県生まれ。神戸市外国語大学外国語学部ロシア学科卒。毎日新聞記者を経て、1992年東洋経済新報社入社。1999年から1年間、韓国・延世大学留学。著書に『図解 金正日と北朝鮮問題』(東洋経済新報社)、訳書に『金正恩の「決断」を読み解く』(彩流社)、『朝鮮半島のいちばん長い日』『サムスン電子』『サムスンCEO』『李健煕(イ・ゴンヒ)―サムスンの孤独な帝王』『アン・チョルス 経営の原則』(すべて、東洋経済新報社)など。

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