カフェで起業して10年続けられる人の仕事観

「基本」を進化させ、お客を裏切らない

「規則正しい営業もモットーです。店をきちんと開けていることが最大の広告で、営業時間は、お客さまとの約束だと思うからです。長年続く店になるには、ロマン(夢)とソロバン(採算)も大切ですが、それに “ハート”も加えているつもりです」(同)

利用客の立場でいえば、味のおいしさに加えて、誠実に営業時間を守り、きちんと接客する店は安心できる。使い古された表現だが「たかが喫茶店、されど喫茶店」なのだ。

飲食も食器も「人の手が入ったもの」

茨城県のJR常磐線牛久駅(牛久市)を出て7~8分歩くと、黒い壁の建物が目を引く。入口には書家が書いた「サイトウコーヒー」の看板。2001年に開業して17年になる自家焙煎珈琲店だ。

「新鮮なコーヒー豆をきちんと焙煎し、ネルドリップで淹れたコーヒーが基本で、そのコーヒーに合う手づくりのスイーツとフードが中心です。コーヒー豆は県内の人気店『サザコーヒー』から生豆を仕入れ、店で焙煎。野菜は地元の『坂本ファーム』から仕入れます。小物や食器類の大半は、県内で活躍する作家の一点モノです。いずれも大量生産ではなく、人の手がしっかり入ったものを大切に使います」(店主の齋藤孝司氏)

サイトウコーヒー外観(写真:筆者撮影)

その姿勢が支持されて、座席数30席の店に平日は約50人、土日は70人が来店する。取材時に隣接する「ギャラリー」で作家の作品を見ていると、女性常連客がやってきた。

「この店はコーヒーがおいしいし、フードもスイーツも好き。その日の気分で頼む品を変えます。ギャラリーの地元作家さんの作品も、気に入れば買う。店には時々、地元の人が集まって交流もしています」(会社員の小山文子さん)

サイトウコーヒー店内(写真:筆者撮影)

牛久で生まれて育った齋藤氏は、小学校の卒業文集に、将来の夢は「喫茶店マスターになりたい」と書いた。ただし周囲が公務員という家庭で、専門学校卒業後に千葉県の公設市場に就職して公務員人生をスタートさせた。だが、激務で体調を崩して退職。

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