カフェで起業して10年続けられる人の仕事観

「基本」を進化させ、お客を裏切らない

カフェドマルの店内(写真提供:カフェドマル)

大切にしてきたキーワードに「基本」「縁」「本気度」がある。

たとえば「基本」となるコーヒーの味では、地元で長年続く焙煎業者から豆を仕入れ、挽きたてと淹れたてを提供する。「縁」では、知り合った人と連携した「ギャラリー展」や「ママの日」などのイベントを行い、地元新聞社と連携したカルチャー教室も開催する。「本気度」では、ホットメニューは、品格のあるカップを温めて提供。顧客層の女性を意識して、開業当初からノンカフェイン紅茶を用意。店に置く雑誌は、女性向けを多く取りそろえた。

店のコンセプトは、満留氏自身の体験もある。実は前職は、みずほ銀行(入行当時は富士銀行)の銀行員で、窓口業務で接客を学んだという。社内表彰「みずほアウォード」も受賞した行員だったが、体調を崩して療養した末に退職。病院通院中に立ち寄ったコーヒー店の味に魅了され、「好きだった接客がコーヒーを通じてできる」カフェの起業を決意した。

店の開業資金は自己資金と、国民生活金融公庫の借り入れを活用した。「女性は金利優遇制度があったので、借り入れを決めました」(同)。このあたりの知見は金融出身者らしい。

「営業日誌」は大切な相棒

銀行員時代に毎日「営業日誌」を書いてきた満留氏は、カフェ店主の今も書き続ける。理由は「その日の出来事、店での会話、お客さまの情報を正確に記憶したいから」だという。

提供するカップにもこだわる(写真提供:カフェドマル)

「小さな会話の積み重ねから、その人を知ります。たとえば『4月にフルートのコンサートをします。今日は練習で疲れて、ゆっくりしに来ました』と伺えば、日誌の4月欄に記入。それ以降に来店されれば、『コンサートはいかがでしたか?』と会話できるからです」

常連客にとっては、深く立ち入られたくないが、自分の存在は知ってほしい(心理学における「承認欲求」)。会話の潤滑油としても、メニューの見直しでも日誌を活用する。

「今年、コーヒーメニューを一部入れ替えました。最近はマンデリンより、アメリカンの注文が増えていたのですが、この決断にも日誌が役立ちました。1人で店を切り盛りする私にとって、過去の出来事や昔の自分とも向き合える営業日誌は、相棒のような存在です」

開業前に本などで「カフェは利益が出にくい」と学んでいた満留氏。「女性が郊外で、中途半端な店を開業しても生き残れない」と考えてコンセプトを重視。イベントでも集客する。

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