「日の丸ジェット」MRJ、業界再編で増す不安 パワー部門も逆風下の三菱重工に新たな試練
「今は会社全体で大きな問題に取り組む『戦闘状態』にある」。2月6日の決算説明会で、三菱重工業の宮永俊一社長はこう語り、危機感を示した。
「陸」と「空」の両方で苦戦
実際、2018年4〜12月期の営業利益は800億円と前年同期比では復調したが、会見では同社の先行き懸念に質問が集中した。懸念の一つが、収益柱の火力発電機器などパワー部門の受注の落ち込みだ。
温室効果ガスの排出削減を求める「パリ協定」の発効で、中核の発電用大型ガスタービンの市場は縮小している。競合の米ゼネラル・エレクトリック(GE)や独シーメンスも大規模リストラを発表するなど、「構造的にかなり厳しい」(宮永社長)状況にある。
さらに同社を戦闘状態に突入させた最大の懸案が、開発を進める小型ジェット旅客機「MRJ」(三菱リージョナルジェット)だ。
開発が始まった08年当初は、13年の納入開始を予定していたが、すでに5回も延期。現在は20年半ばを目標にしている。半世紀ぶりの国産旅客機開発ゆえに経験不足が足かせとなり、商業化に欠かせない航空当局からの型式証明取得に時間を要しているためだ。
外国人技術者の大量投入などで開発を急いでいるが、遅延で開発費が膨張。当初想定した1500億円程度から、今は5000億円超に膨らんでいるとみられている。
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