「日の丸ジェット」MRJ、業界再編で増す不安 パワー部門も逆風下の三菱重工に新たな試練

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今春で就任6年目に入る三菱重工業の宮永俊一社長。2016年11月にはMRJ事業を社長直轄の体制に移行するなど、日の丸ジェットに心血を注ぐ(撮影:今井康一)

7年の後ろ倒しにもかかわらず、これまでMRJは427機(正式契約のみ)と少なくない受注数を維持してきた。米メーカー製の最新鋭エンジンの搭載が評価されてきたためだが、1月下旬、米イースタン航空の発注した40機がキャンセルされた。キャンセルはこれが初めてだ。

競合となるブラジルの小型旅客機大手・エンブラエルも目下同じエンジンを積んだ新型機を開発しており、これまでの遅延で、時間的な優位性はほぼ消えてしまった。次は残る受注をどう維持できるかが焦点となる。

顧客でもあるボーイングと競合する可能性も

そんな中、MRJにとって致命傷となりかねない業界再編の議論が浮上。米ボーイングとエンブラエルとの提携交渉だ。ボーイングは両社の商用機部門統合を視野に入れているとされる。

統合にはブラジル政府の承認が必要だが、仮に提携が成立すればMRJは最大手のボーイングと正面衝突することになりかねない。胴体などボーイング向けの部品供給は三菱重工の航空部門の柱であり、この点からも抜本的な戦略の見直しを迫られることになる。

宮永社長は今春で就任6年目に入る。「この事態を乗り切るメドがついたら、若返りを進めたい」とする。就任以来最大の正念場でどんな舵取りを見せるか。

風間 直樹 東洋経済コラムニスト

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かざま・なおき / Naoki Kazama

1977年長野県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒、法学研究科修了後、2001年東洋経済新報社に入社。電機、金融担当を経て、雇用労働、社会保障問題等を取材。2014年8月から2017年1月まで朝日新聞記者(特別報道部、経済部)。復帰後は『週刊東洋経済』副編集長を経て、2019年10月から調査報道部長、2022年4月から24年7月まで『週刊東洋経済』編集長。著書に『ルポ・収容所列島 ニッポンの精神医療を問う』(2022年)、『雇用融解』(2007年)、『融解連鎖』(2010年)、電子書籍に『ユニクロ 疲弊する職場』(2013年)など。

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