米国株の急落は「バブル崩壊」の始まりなのか 投資家に久々にチャンスがやってきた?

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そう考えると、パウエル議長が率いるFRBの手腕をどうみるかが、今後の金融市場を考えるうえで重要になるが、この点について筆者は楽観、悲観いずれもの見方も持っておらず中立である。チーフエコノミストの役割を果たすとみられる副議長が誰であるかは依然判明しておらず、それを含めて新たなFRBの手腕をみなければ判断するのは難しい。

いずれにしても、新たなFRB議長が株式市場の大きな変動に直面する歴史が繰り返されたわけだが、今後もFRBの金融政策運営が、世界の金融市場のパフォーマンスに大きく影響を及ぼし続けるのだろう。

安倍内閣の「日銀執行部人事」に注目

また、2月初旬のタイミングでの世界的な株価下落が起きたことには、FRBの議長交代に加えて、日本銀行の執行部交代の時期が重なったことも影響していた可能性がある。

仮に日銀の金融政策のフレームワーク(枠組み)の変更があるとしたら、新たな執行部が誕生するまで時間を要するため、一時的に日銀の金融政策の機能が低下する時間帯が訪れていると言えるだろう。

金融政策の舵取りが重要という意味で、3月以降に誕生する新たな日銀執行部の人選について、安倍晋三政権はどのような選択を示すのだろうか。9日には、大手新聞社が黒田東彦総裁の続投を報じている。

安倍政権の日銀執行部の人選は、日本の金融市場だけではなく、2018年の世界の金融市場にも無視できない影響を及ぼす可能性がある。安倍首相は2月5日の衆議院予算委員会で、「純粋にマクロ経済をみていく中では、デフレ脱却とはいえない」「今後とも日銀が2%の物価安定目標の達成に向けて大胆な金融緩和を着実に推進していくことを期待している」と述べた。

この言葉どおりに、執行部の人選が実現すれば日本経済、そして金融市場は当面は安泰だろうが、はたしてどうだろうか。

村上 尚己 エコノミスト

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むらかみ なおき / Naoki Murakami

アセットマネジメントOne株式会社 シニアエコノミスト。東京大学経済学部卒業。シンクタンク、外資証券、資産運用会社で国内外の経済・金融市場の分析に従事。2003年からゴールドマン・サックス証券でエコノミストとして日本経済の予測全般を担当、2008年マネックス証券 チーフエコノミスト、2014年アライアンスバーンスタン マーケットストラテジスト。2019年4月から現職。

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