iPhone「販売台数減」はアップルの"想定内"だ 他社にはできない「マイナス成長戦略」とは?

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アップルにあって、サムスン電子などの他のスマートフォンメーカーにないものは、このApp StoreやiCloud、Apple Musicなどを含むiPhoneユーザーから継続的に得られる収益源だ。アップルは同社のサービスの有料会員数が2億4000万人を超え、2018年度第1四半期の期間中に30%増加したという。

加えて、iPhoneユーザーのためのウエアラブルアクセサリーであるApple Watchは前年同期比で2倍以上の成長を記録し、AirPodsなどを含むウエアラブル製品も70%増と好調だ。2月9日にはHomePodも投入され、iPhoneユーザーがApple MusicやSiriと組み合わせて利用するホームスピーカーが、売上高をさらに押し上げる可能性を秘める。

アップルはスマートフォンビジネスを核にしながら、競合にはできない高付加価値製品への支持を集め、同時にユーザーが日々スマートフォンを使っていく過程からも収益を上げる構造を構築した。来るべきスマートフォンのマイナス成長時代への備えが、ほぼ唯一整っているメーカーといえるだろう。

「旧機種の機能制限問題」の影響は?

アップルのティム・クックCEO(最高経営責任者)は電話会議の中で、iPhoneの販売台数は表面的な数字にすぎず、顧客満足度やエンゲージメント(愛着)、アクティブデバイス数を含めた、より長期的な視点を持つ必要があると指摘した。

「iPhoneは高い信頼を得ている」と自信を見せるクック氏だが、2017年12月から問題となっているiPhoneの旧機種の機能制限問題の影響については「わからない」と答えている。一方で、同時期にiPhone向けiOSの通知のバグの問題が発覚するなど、クック氏が意識する満足度や信頼性を揺るがすソフトウエア品質の問題も露呈してきた。

2018年度第2四半期(2018年1~3月)は、アナリスト予想よりも低い売上高を予測しており、引き続きスマートフォンのマイナス成長時代の継続を予見しているアップル。品質向上と信頼回復に努め、唯一無二のビジネスモデルを持つモバイル企業としてどのような未来を見せることができるか、注目していきたい。

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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