ユニクロがスペインで「ZARA」に勝てないワケ 初出店から4カ月、今の評価は?
欧州、と一言で言っても、それぞれの市場で消費者の動向や好みは異なる。が、スペインにかぎって言えば、この国でユニクロがザラに勝てないと思える理由がいくつかある。1つは、スペインの消費者は品質や機能性よりファッション性を重視する点にある。品質に関して言えば、「最低限保証されていればいい」という感覚だ。
ザラはスペイン人のこの感覚にマッチしている。たとえば、ザラでは洋服のデザインを起こしてから店頭に並ぶまでの期間はわずか30日だとされる。つまり、ストリートで流行っているもの、あるいは、ブランドのコレクションなどから流行りそうなものを推測して、それをいち早く店頭に並べられるわけだ。また、ザラには350人のデザイナーがおり、年間1万8000点もの新商品が投入されている。
スペインに吹く激安旋風
同じ商品が長期間店頭に並ぶことを避けるため、生産量を調整し、比較的安易に売り切れる数量に抑えて生産している。つまり、1カ月もすれば、商品内容がガラリと変わるため、消費者にとってはつねに新鮮味があるというわけだ。それだけに、何度も新しい商品が入っていないか消費者は足を運んでしまう。
一方、ユニクロの場合は、品質が良く、耐久性が高い。デザイン的にもベーシックなものが多いため、1カ月に何度も訪れる、ということはスペイン人の性格からすると考えにくい。実際、スペインのアパレル業界の専門家たちは、バルセロナにあるユニクロ1号店と、同じ通りのあるザラの店舗の年間訪問者数には2倍近く開きが生じるとみている。
価格についてもザラのほうが、競争力が高い。現在、スペインのアパレル業界で破竹の勢いで伸びているのは、アイルランドで誕生したPRIMARK(プライマーク)など、激安ショップである。同ブランドでは、40ユーロ(5400円)を超えるものはないとされており、ザラですら、これに対抗して激安ブランドを作ったほどだ。
欧州で急成長中のプライマークがスペインに進出したのは、2006年。2015年には、マドリードに1万2400㎡の超大型ショップを開設している。現在、スペインでは44店舗を展開しており、その数は英国(185店舗)に次ぐ規模となっている。
一方、ザラの最大のライバルである、バルセロナで誕生したMANGO(マンゴ)は消費者間では、ザラより若干高いブランドと認識されているが、最近はマンゴも激安ブームにのっており、セールでは6割引になっている商品も。たとえばザラで、99.95ユーロ(約1万3490円)で売っている格子柄のコートが、マンゴでは99.99ユーロ(約1万3500円)とほぼ同じ価格になっている。
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