30歳「自殺未遂3回」の彼女が見たASDの現実 もっと早く自分の発達障害を知りたかった

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彩音:絶縁されるレベルで反対された。おカネの工面も何もしないと言われたけど、私はそれでもよかった。離れてみて初めて親が毒親と気づいたし。実家にいると親が絶対であり、正直なところ家におカネも入れてなかったし、食べさせてもらっているという感じが強かったから。

姫野:彩音さんがASDと診断されたのは高3のときなのに、なぜ知らされなかったんだろう。

彩音:ショックを受けると思ったらしく教えてくれなかった。それまで、ずっと「自分は勉強ができるほうだ」「まさか自分は発達障害なんかじゃない」と思っていたから。24歳のとき、障害者年金の手続きをしている際「病名:発達障害」となっていて「えっ!?」って思って初めて知った。うち、弟が重度のASDで、しかもLD(学習障害)まで入っているから、そんな弟を見ていたからまさか自分も発達障害だったとは思わなかったんだよね。もっと早く知っておきたかった。

弟は小2くらいまでオムツが取れなかったし、人との距離が極端におかしい。LDで漢字を形として覚えるから書き順がめちゃくちゃ。中学の頃は太っていていじめられていたし……。でも、高校のときにダイエットして30kgくらいやせて、そしてDJに出会ってクラブで活躍するようになって一気に変わった。夜間の定時制高校に行ったらそこでもいろんな出会いがあったらしく、今は友達もたくさんいるし、昨年結婚もした。弟は本当に頑張ったと思う。こないだ母親と大ゲンカしたみたいだけど、それすら成長だと思う。ずっと母親に服従していたあの弟がって思うとね。

「なんでできないんだろう」と悩み続けるより

姫野:弟さんも相当苦しんだんだろうね。彩音さんは今、接客業をしているけど、現在ASDの症状で困ることはない? ASDで接客が苦手という人は多いと聞くけど。

彩音:私はむしろ得意。職場では接客のコンクールで賞をもらったくらいだし。逆に苦手なのはケイちゃんみたいな仕事。編集者から「ここはこうしてください」とか「ここはダメですよ」って言われるでしょ? そうすると私の場合、自分を全否定されている気持ちになって無理。自分はすべてダメなんだってパニックになっちゃう。今、いちばん困るのは、二次障害のうつの波がひどくて、仕事に行けなくなる日があることかな。

姫野:彩音さんが発達障害の当事者として伝えたいことはある?

彩音:「発達障害かな?」と心当たりがあるなら自分で解決しないで病院を受診すること。今はいろんな本が出ているし、ネットでも簡単に調べられるから、自分の中で「私、こうなんだ」って自己解決しないでほしい。私はずっと病名を隠されていて、それでつらかった。逆に、自分は病気なら病気だと受け止めたほうがいいと思う。そしたら、これができないのは病気のせいなんだってわかるから。病気だとわかっていなかったら、「普通の人ができることがなんで私はできないんだろう」って悩み続けるから。

姫野 桂 フリーライター

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ひめの けい / Kei Himeno

1987年生まれ。宮崎市出身。日本女子大学文学部日本文学科卒。大学時代は出版社でアルバイトをしつつヴィジュアル系バンドの追っかけに明け暮れる。現在は週刊誌やWebなどで執筆中。専門は性、社会問題、生きづらさ。猫が好きすぎて愛玩動物飼養管理士2級を取得。趣味はサウナ。

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