「フード産業」を人気業種にすることは可能か クックビズが目指していることとは?
藪ノ:われわれは人事系の人たちとのネットワークが強いので、予約サイトとは、会っている人のラインが違います。ただ、もう少し、われわれが飲食系人材のシェアリングエコノミービジネスのような形態になって、一定期間、飲食人材をプールする派遣業のような形態をとれるようになったら、予約状況に合わせてヘルプ人材を出すというモデルは考えられます。その場合、最終的には予約状況にリンクしていくかもしれません。
もっと個が輝く産業に
朝倉:国内では研修事業に取り組んでいかれるということでしたが、海外への展開もお考えなんですか?
藪ノ:海外でも何かやりたいと考えて、「Foodion」という料理人が使うSNSアプリをはじめました。われわれは日本一料理人のレジュメを集めてきた会社だと思うんですが、活字情報なので料理がどれくらい美味しいのか、盛り付けはどうなのか、レシピはどうなのか、といったことはまったくわからないんです。そこで、その人が持っている技術やコンテンツをもう少しビジュアライズして見せられるようにと思って、このアプリを始めたんです。
腕利きの料理人って自分のポートフォリオを持っているんですよ。今まで作った料理を写真にとってファイリングしてそれを材料に採用面談時に条件の交渉をしたりしている。それをスマホでできたらいいと思って、ポートフォリオの機能を作り、その人のアカウントを見ればその人の料理がどれくらいすごいのかをわかるようにしたりしています。
朝倉:料理人のリンクトインみたいな感じですね。
藪ノ:実は、開発コードは”CookedIn”だったんですよ(笑)。
SNSとしての機能だけでなく、読み物コンテンツとして、ミシュランに載るような料理人の人生を振り返るようなインタビューも掲載しています。
人材サービスだけやっていると、星付きのレストランのような良い企業ほどお手伝いしにくいという課題があります。彼らに対して深くアプローチしていく方法はなんだろうと考えた時に、彼らが主役のプラットフォームを作ればいいんじゃないかと思ったんです。星付きレストランのシェフがセルフ・ブランディングできるようなサイトになることで、ピラミッドで言うとトップ層が集まってきていて、そこから海外にも広がって、今はメキシコでユーザーが急増したり、インドでバズったりといったことが起きています。それでネットワークができて、経済圏ができればいいなということを考えて、取り組んでいます。
村上:チャレンジされているサービス一つひとつがどれも魅力的ですが、それぞれがつながるとさらに面白くなりそうですね。各サービスをつなげていく中で、料理人から飲食店や料理人個人に対して、各種レーティング等の連携の仕組みを導入すると面白いと思いますが、そのような計画はありますか?