世界一のレストラン「ノーマ」が抱える矛盾 1食8万円のメキシコ料理はおかしくないか

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期間限定レストランノーマ・メキシコの料理のひとつ、ドライホタテとピペル・アウリツムのモーレソース添え(写真:Adriana Zehbrauskas/The New York Times)

超独創的な料理で、ここ6〜7年、世界中のレストラン誌や料理評論家から世界最高のレストランとたたえられてきた「ノーマ」。デンマークの首都コペンハーゲンにあるその店が、移転のため一時閉店するのに伴い、メキシコのトゥルムに7週間だけの期間限定店が生まれた(5月28日に営業終了)。

受付開始から3時間で予約はいっぱいに

ノーマ・メキシコの入り口(写真:Adriana Zehbrauskas/The New York Times)

カリブ海に面したトゥルムは、マヤ文明の遺跡で知られる小さな町。そのヤシの木が生い茂る木立ちの中に、「ノーマ・メキシコ」は造られた。シェフのレネ・レゼピは、コペンハーゲンからほとんどのスタッフを連れてきて、「この10年で最高の食事体験にしたい」と意気込んだ。

案の定、12月の受付開始から3時間で、7週間7000人分の予約はいっぱいに。そして4月にオープンすると、ノーマ・メキシコを絶賛する声が世界中のメディアにあふれた。『エスクァイア』誌のカルチャーディレクターは「今年最も羨望の食事」と表現し、トロント・スター紙の料理批評家は「人生最高の食事」とたたえた。

でも、私(いちおうニューヨーク・タイムズ紙のレストラン批評家だ)は、ノーマ・メキシコに行かなかった。

それでも、この店でどんな料理が出たかは、けっこう知っている。インスタグラムをチェックすれば、「#nomamexico」とタグづけした写真が5000枚以上見つかるし、大手メディアに有名フードジャーナリストの批評が次々と掲載されたからだ。

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