「フード産業」を人気業種にすることは可能か

クックビズが目指していることとは?

藪ノ:まだまだ構想段階ではありますが、今後機能として入れていっても面白いかと思いますね。というのも、Foodionのマネタイズは採用ではないと思っているんです。シェフのプラットフォームができてくると、次はグルメな人たちが集まってきます。そういう人たちが求めるのは、「この人の作るものが食べたい」とか、「この人の接客を受けたい」とか、そういうことだと思うんです。そういうお客さんがFoodionを通じてチップを払えるようにしたりすることで、飲食人のキャッシュポイントを増やすことができる。われわれはフード産業を人気業種にするというビジョンがあるので、このビジネスがいずれは、そこに貢献できるのではないか思っているんです。

クラウドファンディングみたいになってもいいですよね。たとえば、店の看板娘が実は苦学生で、Foodionで投げ銭のような形でおカネを集めて学費を払うとか、そういうのができたら面白いんじゃないか。

何が言いたいかというと、「個に注目している」ということなんです。今までの販促は店舗の評価なんです。でも、店舗の評価なんて危うくて、料理人が変わったら味も変わるし、看板娘がいなくなったら行く気もなくなる。人の評価の集積値が店の評価なので、本来は人の評価から店を評価しないといけない。だから個に注目してもらうことで、販促にも一石を投じたいんです。

「食ビジネスはグローバルで戦える」

小林:まさに私も体感したことがあります。ワインバーのシェフが変わって、その店に行きたい気持ちの半分くらいが削がれてしまった。

個に注目してもらうことで、販促にも一石を投じたい(写真:Signifiant)

藪ノ:シェフの動きで客もぞろぞろ動くといったことが実現できたらいいですね。料理人って、包丁一本で世界中どこでも働けるというのが魅力なので、そういった身軽さみたいなものを、われわれのサービスでどうサポートしてあげられるか。正直、今展開しているサービスの真逆を行っているのかもしれないですが、個が強くなることはそれを抱えている店が強くなることなので、個に注目することは悪いことじゃないと思います。

朝倉:「組織から人へ」といった力点の移動は、まさに今の時代背景にもマッチしていますね。最後に、今後に向けての意気込みを聞かせてください。

藪ノ:食ビジネスはグローバルで戦える、と私は信じているんです。日本のIT企業が海外の市場で勝つのは難しいとは言われていますよね。この点、私は、国民性として強い種目で戦うべきなんじゃないかなと思っています。スポーツを見ても柔道のように、オリンピックで毎回メダルを取る種目もあるわけじゃないですか。ビジネスに置き換えると、日本の場合、われわれが強いのは食だと思っているので、そこで戦ったほうがいいと思っています。

フランスでも、今は星付きの日本人オーナーの店って数十店舗くらいあるらしいんですね。今の人材でそこまで勝てているんだから、飲食業界全体を人気にしてもっと優秀な人材が入ってきたら、より勝ち越していけるんじゃないかと。今までこの業界に来なかった優秀な人が来るようになれば、世界で勝ち続ける産業になると思うし、世界の食べ手の人が喜んでくれればいいと思います。

朝倉:たしかにそうですね。日本企業が海外で勝つためのヒントが今日のお話にはあったんじゃないかと思います。今日はありがとうございました。

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