モバイルは、まず日本で−−ティム・アームストロング グーグル広告販売担当副社長

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モバイルは、まず日本で−−ティム・アームストロング グーグル広告販売担当副社長

事業を進めるうえでの戦略のポイントは3つある。第1に「インターネットの明るい未来を信じよ」、第2に「巨大な事業規模で展開せよ」、第3に「価格設定を適正にせよ」だ。この戦略により、グーグルは多くのユーザーに利用される世界的な企業に発展した。深刻な病気を抱えた人がどの病院に行ったらいいのか悩んだとき、あるいは自分の子どもが通う学校をどこにすればいいのかを調べたいときなど、さまざまな場面でグーグルは使われている。人々の問題解決の一助となれることを、すべてのグーグル社員は誇りに思っている。

グーグルに入社して8年、最も印象的なことは、小さな会社がグーグルの広告をうまく利用して急速に事業を拡大していく経過を目の当たりにしたこと。取扱商品がたった1つで社員1~2名の小さな会社がグーグルを活用して大企業にのし上がった事例が次々に生まれた。

2000年に広告事業を始めた当初は、自動車、金融、健康産業関連の大企業に対し、いかにアドワーズ広告が効果的か説得しようと頑張った。しかし、大企業を納得させたのは、グーグルの営業トークではなく、彼らの顧客であった中小企業が劇的に成長して大企業に伍するまでになった事実だった。今ではトップレベルの大企業も、グーグルで大規模な広告活動をしており、その効果を実感してもらっている。

グーグルの広告事業の特徴は、多種多様な販売促進ツールとして使えること。たとえば海外を含むビーチリゾートなど観光地の広告の場合は、安い価格で大量に表示する必要がある。しかし、たとえば「コンピュータを1日で修理します」といった広告は、クリック1回に対して広告料が30ドルだとしても修理代に300~400ドル請求すれば、十分に利益が出るので、少量の広告をピンポイントで表示すればよい。

広告事業の可能性は、大きく広がっている。ユーチューブや4マス広告にも力を入れると同時に、特に海外ではモバイル広告に期待している。日本だけでなく、アジアや欧州のいくつかの国やブラジルなどでモバイルインターネットが極めて重要になっている。5~10年後にはパソコンに加えテレビ、モバイルを通じたネットアクセスが生活に密着するようになると思うが、とりわけモバイルインターネットは大きく躍進しているはずだ。

グーグルの強さの1つは、最も成功する可能性の高い市場でまず新規事業を展開する柔軟性にある。モバイル事業では、世界で最も有望な市場は日本。そのため、モバイルにおける広告戦略、多くの研究開発を日本で行っている。モバイル広告の主要なプログラムは、まず日本で最初に実施し、そこで確立したプログラムを欧米、その他の国で実施していく。

グーグルの変わらない原則は、ユーザーが望まない広告は絶対に掲載しないこと。たとえばユーチューブで無理やり10秒の動画広告を流す、というようなことは、検討することすら考えられない。われわれはつねに数千件におよぶ事業案を検討しているが、その決定方法は経営幹部が会議で決めるようなやり方ではなく、実地から収集したデータに目を通すというやり方だ。判断基準は、ネットユーザーに新しい価値を提供するか、満足度という点で逆効果になっていないか、という点に尽きる。満足度を低下させるようなものは絶対に導入しないのが、グーグルのポリシーだ。

3~4年前までは、新しい画面が次々に立ち上がるようなポップアップ広告が氾濫していた。それはインターネットの利用を困難にし、ひどいときにはユーザーのコンピュータをクラッシュさせる原因にもなった。ポップアップ広告でかなり収益を上げたところがあったが、グーグルはポップアップ広告を使用しないという決断を下しただけでなく、グーグル以外のサイトにも使えるポップアップを遮断するツールバーまで開発した。エンドユーザーの利益にならないような広告は、インターネットの発展を阻害すると考えているからだ。

Tim Armstrong
北米における広告販売と営業チームのリーダー。新聞社やネットマガジンの創設など、メディア業界のベテラン。前職はネット企業で販売戦略担当。ネット広告業界団体IABで理事も務める。

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