世界経済は2018年も好調が続くと有力視されている。ポピュリズムや全体主義が台頭し、長期的な経済成長の基盤となる民主主義は危険にさらされているが、今のところ株価への重しとはなっていない。どういうことか。
経済の世界同時回復が進んでいる最大の要因は、リーマンショックが落とした長い影から世界経済が脱したことにある。しかも、この回復はまだ終わってはいないのだ。10年にわたって停滞が続いた設備投資は増加に転じている。これは将来の経済成長や生産性向上の布石となるものだ。
政治的雑音はそれほど影響を及ぼしていない
米連邦準備制度理事会(FRB)の後継者人事で、トランプ米大統領は極めて適格な人物を指名した。欧州中央銀行(ECB)については、イタリアやスペインの経済をテコ入れするために行われてきた緩和策をドイツのタカ派がやめさせようとしたが、もくろみは失敗。ユーロ圏においてECBが持つ圧倒的な権威は維持された。投資家や政策通はこれらを好感している。
独保険大手アリアンツの経済顧問、モハメド・エルエリアン氏が指摘するように、投資家の多くは、すべては中央銀行次第だと考えている。金融政策の独立性が維持されているかぎり、政治的雑音は無視して構わないというスタンスだ。
確かに、少なくとも今のところは、政治は従来考えられていたほどには世界経済の妨げとはなっていない。だが、政情が大きく変われば、その長期的なダメージは想定以上に深刻なものとなる可能性がある。リーマンショック後に起きた政治的分断によって、長期的な政策に対する不安定さは大きく増している。各国政府は左派と右派の間を揺れ動いている。
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