トランプ政権がついに始めた「保護貿易」の罠 中国や韓国からの輸入制限は吉か凶か
ドナルド・トランプ大統領が誕生して、この1月20日で丸1年を迎えた。その言動や主義主張、立ち居振る舞いについては、もはや何も言う必要がないほど、世界中で報道されている。
ある者は怒り、ある者はあきれる。それでも、米国にはトランプ支持者が一定の割合で存在する。ここに米国の病める部分があり、これまで世界中を戦争へと導いてきた米国の黒い部分がある。
トランプ政権が誕生した時点でわかっていたことだが、世界は再び混沌とした時代に突入しようとしている。トランプ大統領がその牽引役になりつつある。
トランプ大統領本人は「オバマ前大統領の鼻を明かしてやろう」といった軽い気持ちでやっているように見えるが、トランプ氏がこの1年でやってきたことは、すべてが第2次世界大戦という大きな犠牲を払って得た「秩序」の破壊でしかない。それに本人は気がついていないだけに、ことは面倒で厄介だ。言い換えれば、彼の周りにいる権力にすがりたい取り巻きが、真の破壊者なのかもしれない。
世界秩序を破壊する「保護貿易主義」の復活
さて、トランプ政権の今後を考えたときに、数多くのリスク要因があるわけだが、簡単にまとめると次のような要素になるだろう。
●メキシコの壁に代表される「移民抑制策」
●財源の当てのない「大型減税」
●パリ協定離脱に見る「環境問題」への無理解と無知
●弾劾裁判開始か? 「ロシア疑惑」
●うそをついた数は1年間で2140回? 自前の「メディア戦略」
むろん、トランプ政権が自慢する経済の好調さといったプラス要因もある。トランプ政権誕生以来、株価は連日最高値をつけ、実質GDP成長率も2017年7~9月期には年率換算で3.2%に達するなど、一時的とはいえ公約の3%台に達する勢いだ。
ただ、大統領が変わったからといって、1年にも満たない期間で経済が好転するはずもない。経済の構造そのものが変わったわけではなく、別の要因で米国経済が好調に転じている、と見たほうがいいだろう。
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